映画は生きものの記録である 土本典昭の仕事のレビュー・感想・評価
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監督本人の語りで仕事を振り返らせ、手短にまとめられていて良かった
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冒頭で、たこを獲る笑顔の漁師さんの姿が映し出され、その笑顔は土本氏との良好な関係性の賜であると感じたものの、獲れたたこの安全性に不安を抱いた。ちょうど半ばで、1975年制作の『不知火海』の場面が取り上げられ、水俣病発生地付近で生活する夫婦が甲いかを刺身に捌いていて、相変わらず魚を食べ続けている、と説明されていて、冒頭のたこ獲りの謎も説明がついた。
患者たちが子どもを産むことに躊躇がなかったことも語り、胎児性患者の青年が、施設から連れ出してほしい、との頼みを断る場面もあり、最後には、自分はなかにはいり込んではいなかった、とも語っていて、そのような発言が許容されていた人物であったのも羨ましいところだと感じた。
初監督作品の『ある機関助士』と第2作の『ドキュメント 路上』の一部も取り上げられ、その依頼意図と土本氏本人の制作方針との食い違いも説明されるとともに、サイレントでの利点等、制作手法の特徴の説明もなされていた。監督本人の語りで仕事を振り返らせ、手短にまとめられていて良かった。
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