あしたの私のつくり方のレビュー・感想・評価
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あどけなさ、けなげさ、生き抜く為のしたたかさ
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学校は子供達の修羅場=戦場なのかもしれない。
誰かがジョーカーを引いてくれる事を、皆息をひそめて待っている。
引いてしまったら次の誰かが標的になるまで、ひたすら耐えぬくしか
生きる術はない。
家では不仲の両親のカスガイを努め、学校では目立たぬよう
クラスメートに溶け込む事に全神経を集中させている「寿梨」には、
成熟しかけの少女のか細い体つきと硬質な美しさと確かな演技力で
すでに大女優の風格さえ感じさせる成海璃子
小学校では明るい優等生で人気者だったが、ジョーカーを引いてしまい
「いじめられている私は嘘の私」と鎧のような殻に逃げ込んだ「日南子」
を演じるのは、あどけなく控え目な表情の中に意思の強さがかいま見える
AKBの前田敦子
演技の巧拙が少し気にはなったが、15~16才という若さで、すでに
二人共したたかな存在感とオーラを持っている。
仮面の中に本来の自分を隠しているという意識が、双生児のように
似通っている寿梨と日南子。
彼女達は学校ではすれ違いながら、携帯(メール)で繋がり始め、
最後に直接TV電話で話す場面では、それまで寿梨の操り人形のように
振舞っていた日南子が殻を脱ぎ捨て、彼女自分の言葉を寿梨にぶつけていく。
そして寿梨もまた仮面の中に閉じ籠っていた心を開き、素直に泣く事ができた。
あしたからまた生き抜くために仮面をかぶる事もあるだろう。
だが、ありのままの自分を見せられる友を得た事で、二人共少しずつ
本当の自分を育てていく事ができるようになるだろう。
痛々しさと愛おしさを感じる映画だった。
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