劇場公開日 2007年4月28日

「【”お前は嘘が巧いから、行いだけでも良くなさい。”校内ヒエラルキーの中で必死に生きる二人の少女の姿を描いた作品。本当の自分を探そうとする少女達の心の機微を、清廉なタッチで描き出した作品でもある。】」あしたの私のつくり方 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”お前は嘘が巧いから、行いだけでも良くなさい。”校内ヒエラルキーの中で必死に生きる二人の少女の姿を描いた作品。本当の自分を探そうとする少女達の心の機微を、清廉なタッチで描き出した作品でもある。】

2023年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD

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■仲間はずれになることを恐れて目立たない毎日を送る寿梨(成海璃子)と、クラスの人気者から突然全員に無視される存在になった日南子(前田敦子)。
 小学生から中学生、高校生に成長した寿梨は、転校した日南子宛てにクラスの人気者になるノウハウが詰まった物語を“ヒナとコトリの物語”としてメールし始める。

◆感想<Caution! 内容にやや触れています。>

・寿梨が日南子に、メールを送り始めた訳。
 それは自分自身が苛めを恐れ、校内ヒエラルキーの中で上手く立ち回る自分に、嫌気がさしたからではないかな。
 ー そして、ここで太宰治の”お前は嘘が巧いから、行いだけでも良くなさい。”という序盤に紹介される言葉が生きてくる。ー

・誰でも、(今作でも描かれている寿梨の両親の諍いと離婚。そして再婚相手を見つける様。学生だけではなく、大人も大変なのである。)日々、懸命に巧く立ち回りながら生きている。
 ー 故に、後半、日南子が寿梨の携帯番号を探し出し、メールではなく携帯画像で話しかける
 ”今日、嫌なことが有っても、明日良い事があるかもしれない。”
 という言葉が心に響くのである。

<久方ぶりに鑑賞したが、矢張りこの頃の成海璃子さんは、魅力的である。又、映画初出演の前田敦子さんも、初とは思えない、流石の演技である。
 今作は、本当の自分を探そうとする少女達の心の機微を、清廉なタッチで描き出した作品である。>

NOBU