劇場公開日 2007年3月17日

「奇をてらわず、正攻法で、丁寧に」キトキト! live_at_luxorさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0奇をてらわず、正攻法で、丁寧に

2009年10月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

楽しい

幸せ

いろんな意味でまっすぐな映画でした。

母から子への無償の愛という普遍的なテーマ。
田舎で反発し、都会で揉まれて故郷の良さを知る若者。
これも然り。

ありふれたといえばありふれた主題ながら
監督さん始め作り手の思いや、作品への実直な姿勢が伝わってくる
良い意味で商売っ気のなさを感じる作品。

「奇をてらわず、正攻法で、分かりやすく、丁寧に」

時には大げさに、あからさまにさえ感じる演出。
学生映画のそれにも通じる「映画好きです!」という
気持ちを感じる撮り方に好感が持てました。

そんな思いに答えるかのように
揃いも揃って好演している役者さんたち。

メインキャストの若手俳優陣や
ここでもまた実力を再認識させられた大竹しのぶさんと併せて
個人的に特に光って見えたのが伊藤歩さん

小さな演技から大きな動きまで
“タレント”じゃなく“役者”の存在感を感じました。
遅ればせながらこれから注目したい女優さんです。

興行的にどうだったのかは知りませんが
多分大ヒットするようなことはなかったでしょうし、
そこを目指して作ってないんだと思います。

もちろんプロが作る以上、ヒットするに越したことはないでしょう。
でも結果は後から付いてくるもの。

「良い映画を撮りたい」

作り手はやっぱりこれですよね。

資本にモノを言わせて売れる題材を消費するような
昨今の大作とは対極を成す“映画人の映画”。

聞くところによると・・・

この映画の関係者は後進の育成にも力を入れて取り組んでいるとのこと。

ここ数年で日本映画も元気になってきていて
ファンにとってはうれしい限りですが

大きな力が動く大ヒット狙いの大作よりも
こうやって地道に真摯に取り組んでいる映画が好きです。

「映画は映画館で見よう」

そんな気持ちにさせられる爽やかな余韻が残りました。
おすすめです。

※他サイトより転載(投稿日:2009/10/18)

live_at_luxor