「それぞれのパリ、それぞれの愛」パリ、ジュテーム arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
それぞれのパリ、それぞれの愛
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パリ市内の各所を舞台に世界各国の映画監督が愛をテーマに撮影したオムニバス映画。
各ストーリー5分弱というとても限られた尺の中で物語を作るのはなかなか難しい仕事だが、その条件の中で、むしろその条件を生かしていい仕事をしているなと思うのは、シングルマザー(と思しき)の若い母親が自分の幼い子どもを預けて仕事として他所の裕福な家庭の子どもの面倒を見るという哀しい矛盾を両方の子どもに同じ子守歌を歌って聞かせる姿で伝えるウォルター・サレス&ダニエラ・トマスの「16区を遠く離れて」、慌てて待ち合わせの場所に着いた年配の男と男を待っていた若い女の関係をセリフで見せて温かいオチをつけるアルフォンソ・キュアロンの「モンソー公園」。監督の色が良く出ているなと思うのは、途方に暮れるアメリカ人観光客をスティーブ・ブシェミがスーパーキュートに演じるコーエン兄弟の「チュイルリー」、目の不自由な青年の勘違いを描くトム・ティクヴァの「フォブール・サン・ドニ」。「カルチェラタン」のジーナ・ローランズとベン・ギャザラは、もう二人が会話をしているだけですごい贅沢感と満足感。
これはそれぞれの監督の視点を楽しむべき作品であって、一本の映画として評価するのは難しいと思う。
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