劇場公開日 2007年1月27日

「フツ族による少数民族ツチ族の迫害。『ホテル・ルワンダ』でも描かれていたように、これが現実に起こっているんだと衝撃を受けた。」ルワンダの涙 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0フツ族による少数民族ツチ族の迫害。『ホテル・ルワンダ』でも描かれていたように、これが現実に起こっているんだと衝撃を受けた。

2021年9月18日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 似たような状況下ではあるけど、現地の言葉を知らないジョーがとった行動は「世界は知らない」理由からTV中継しようと考えるのだ。大統領が飛行機墜落、首相は暗殺、あちこちで虐殺が起こっている。ツチ族は“ゴキブリ”と蔑まれ、徹底的な人種差別。「ナチがユダヤ人に行ったことを覚えてるか?」という言葉が絶妙だった。

 国連軍が学校内にいるため、民兵たちもうかつに手を出さない。しかし彼らは命令に忠実なため自衛のためにしか武器を使わないのだ。夥しい数の死体の悪臭。忍び寄る恐怖。途中、フランス軍がやってきたけど、フランス人を救出するだけ。そんな中、逃げ出そうとするツチ族たちはあっけなく民兵に虐殺・・・校外に出ても平気なのはジョーやクリストファー神父(ジョン・ハート)だけなのだ。まるでゾンビ映画のような撮り方・・・だけど、ルワンダ人目線で撮ってないのが難点。

 白人TVレポーターのレイチェル(ニコラ・ウォーカー)の言葉は辛辣で、「ボスニアのときは殺された白人女性を母親だと思うとやりきれないけど、殺されるのが黒人だとただの黒人にしか思えない」。このことも影響してたのか、どうも感情移入できず、むしろドキュメンタリーを見ているような気分に。

 国連軍と白人の引き揚げ・・・神父は最後にトラックでツチ族を連れて脱出するが、彼は殉死してしまう。マラソン好きの少女マリーは逃げる・・・ジョーに裏切られた気持ちになっていたけど、走る、走る・・・5年後にジョーを追いかけて再会。「死にたくなかった」と語るジョーは彼女と結ばれることはないだろうなぁ・・・恋愛的にはちょっと虚しい。マリーにとっては初恋のあっただけに・・・

 映画本編では涙も出なかったのに、エンドロール前にエキストラ出演やスタッフの中に虐殺を免れたツチ族の方々の紹介。泣けた・・・特に、殺されなかったけどレイプされHIVに感染した女性とか。

 原題の意味は、学校の周りを死体を漁る犬を撃とうとする国連軍に対して神父が嫌味を言ったこと。

kossy