劇場公開日 2006年12月23日

「裸天国!」ヘンダーソン夫人の贈り物 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0裸天国!

2018年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ヘンダーソン夫人を演ずるジュディ・デンチがとにかくいい。夫を亡くし、人生の目的さえも失ったかのような老貴婦人。同じく金持ち夫人の友人からの「どんどんモノを買っちゃえばいいのよ」という忠告にしたがって劇場を買ってしまう・・・「宝石とかの身につけるものの類よ!」と言われてももう遅い。彼女にとっては生きがいをみつけることが必要だったのだから・・・

 せっかく劇場オーナーになったのだから、成功しなくてはならない。まずは手始めに、有能な支配人・演出家としてボブ・ホスキンスを雇うことにして、ミュージカルを中心に1日に5公演も行う作戦に打って出た。そして、他の劇場との差別化を計るためフランスのようにヌードレビューを登場させるのです。しかもヌードダンサーではなく、あくまでもオブジェのような扱い。自由の女神像や絵画モデルのようなポーズでずっと静止させられる彼女たちは踊るよりも過酷な舞台だったのかもしれません。

 ヌードレビューはショッキングでありながら、殿方たちで大盛況ぶり。経営的にも大成功かと思った矢先に第一次世界大戦勃発なのでした。若い兵士たちに女性のヌードで元気付けたいというヘンダーソン夫人の真意もよくわかるし、ドイツ軍が攻めてきても営業を続けるスタッフや役者の団結心も熱く伝わってくる。戦争によって失う家族の悲しみ。戦時下であっても人間らしい生活を願う気持ち。舞台ミュージカルの音楽によって戦争への小さな抵抗が心地よく感じられる、バランスのいい映画でした。

kossy