「毎年“あの夏“はやって来る」蟻の兵隊 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
毎年“あの夏“はやって来る
今年も間もなく8月15日がやって来る。既に終戦から61年の時が流れた。※1
敗戦を知る我が国日本では節目の年に決まって《戦後○○周年記念》と銘打って大作映画が製作され戦争の恐怖を風化させない様に努めて来た。時に感動作品として、また場合によっては“賛美”する様な描写で賛否を浴びたり…。
内容はともあれ今後も続けていかなければならない。
『蟻の兵隊』は国家から‘過去を否定された男’を追いかけるドキュメンタリーだ!戦後も60年を過ぎて当事者も当事を知る人も次々と亡くなってしまい《本当の証拠》がなかなか見つからない。
「真実は一つなんです」「いかに戦争が恐ろしいモノか、地獄を見たからこそ伝える義務がある」と言い、少しずつではあるが蟻は行進する事を止めようとはしない。
軍隊がいかにして殺人マシーンを作り上げたか…これは真実の『フルメタル・ジャケット』の話でもあります。
特に中国で初めて人を殺してしまった際に逃げ出した中国人の息子と孫に詰め寄る所と、《日本一有名な蟻》に“無名の蟻”が喰ってかかる場面が圧巻です。
女の子達が写真を撮り屈託無く笑えるのも《平和》だからこそで、最後に言う「時間との勝負なんです」の一言が胸に突き刺さります。
※1 鑑賞直後のレビューなので…。
(2006月年8月3日[シアター]イメージフォーラム/シアター2)
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