奇跡の夏のレビュー・感想・評価
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泣くなと言われても無理です。オナラやウンコなら我慢できるのに
ニュー・モントリオール国際映画祭の主演男優賞を取った10歳の男の子パク・チビン。この子が上手すぎるせいです。いたずら大好き、わがままし放題。どうしようもない腕白坊主なので、病院でローラースケートなんかしていると蹴っ飛ばしたくなること間違いなしなのですが、お兄ちゃんが手術しなければならなくなったときから徐々に変化してきたのです。彼のこの心の変化がとても自然な演技なので、のめり込むどころか自分の息子であるかのように愛らしく感じてしまいました。
兄ちゃんや他の患者の頭を叩くなよ!と、祈るような気持ちにもさせてくれたし、裏山へ“ターザンおじさん”を探すシーンでは一緒に冒険しているかのように感じるのです。彼らの両親も治療費の支払いで苦労している裏の部分も見せてくれるし、抑え気味の演技でも充分リアル。病気のお兄ちゃんにもこの弟にも愛情を注ぐお父さんはクォン・サンウが老けたような俳優パク・ウォンサン。元々は母親の手記による実話なので、そう思えるのかもしれませんが、直情的な母親とは違い、全てを受け止める一家の大黒柱を見事に演じていました。
小児がん病棟で知り合ったウクもよかった。観終わった今でも男か女かわからないのですが、この子との冒険でターザンおじさんと出会うシーンでは、『ロード・オブ・ザ・リング』を思い出してしまいました。兄の愛読書は『ハリーポッター』だったけど、このウクはLOTRだったのかもしれません。そして、コメディアンになるのが夢だという彼はオクトンジャ(笑っているのに怒っとんじゃです)というコメディアンが憧れだったのですが、そのオクトンジャ、日本では松村、伊集院、石塚といったところなのでしょうか。なんとなくピンポンパンの坂本新兵さんを思い出してしまいました。『パッチ・アダムス』のロビン・ウィリアムズとはちょっと違います。
ベタな闘病モノ。タイトルが示すようにどちらかが死んで、どちらかが奇跡的に助かるんだろうと予想までつくのに、泣かずにはいられない。ファンタジー部分もかなり抑え気味だったのも良かったです。
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