鉄コン筋クリートのレビュー・感想・評価
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『帝国少年』やプペルの背景を担当した人達(誰だか知らない)が同じ流れだと思う。
CGとVFXを多様したアニメだったが、背景の町がスチームパンクしていて、独特の世界観を醸し出している。背景は『帝国少年』やプペルの背景を担当した人達(誰だか知らない)が同じ流れだと思う。また、『アキラ』に影響を受けている事は容易に理解出来る。
『浦安鉄筋家族』のスタッフと同じと長い間誤解していて、この映画のスチームパンクした街が、浦安だとずっと思っていた。だから、『子供の城』をディズニーランドだと思っていた。
『鉄筋』が同じだけで、全く別物だし、ガード下の背景は完全に『有楽町』だ。しかし、題名に同じ名詞が付けられている。だから、この街は『浦安』をモデルにしていると僕は偏見を持つ。
工場プラントと江戸川に渡る東西線の橋。そして、その橋の南側にはディズニーシーの火山が見える。
僕は、浦安の工場プラントで、高圧ガスの充填作業に従事した職歴があるが、浦安は地獄の様な街ではない。但し『青べか物語』の様な風情は全く無いが。
子供たち病みまくり闇映画
ざっくり言うと両親のいない二人の子供が街で大暴れ的な話なんですが、子供たちが映画の2/3はだいたい狂ってる。
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例えばシロの場合、元々ちょっと発達障害ぽいところがあるんだけど、それが命を狙われた途端悪化。追われてるのに全く歩けずブツブツなにか言ってるだけでイラつく。
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なのにクロのピンチには急に正気に戻って便投げつけたり、と思ったら高いところから飛び降りた瞬間着地に失敗しまた使い物にならなくなる。
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またある時は動くなと言われたのにリンゴの芽生えてるかな!?って走り出す。その元気あるならさっきちゃんと逃げろ??.
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ちなみにこんなシロの声優は蒼井優でなかなか良かった。
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クロの方も途中からサイコパス状態。まぁ声はニノでしかなかったけどかっこよかった。
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独特な画が印象的
〈全体〉 素晴らしいアニメーション表現、そして背景や小物やキャラクター達のハイセンスなデザインが印象的。シロの表情と声優(蒼井優さん)の表現は癖になりそう。アクションシーンも爽快で気持ちがいい。
メッセージとしては、あまりシンプルでなさそうだが、さまざまな人間関係の間からにじみ出るものがあり、一言ではいいがたい。強いて言えば台詞で出てくる「愛」は重要そう。ありきたりに思えるワードだが、ここまで個性的な世界観だと、かえって新鮮に聞こえる。不安定で絶妙な人々の関係性が味わい深い。
〈ディティール〉 印象的な要素は多い。主人公の二人は頻繁に服を変え、その都度、魅力的だ。シロなど、大きな着ぐるみみたいな帽子をかぶっており、それがすごくいい味を出している。腰に装着したトイレットペーパーで鼻をかむアイディアも凄くいい。車で寝泊まりしているとか、パイプの鈍器とかディテールの妙は言い出せばキリがない。私が原作を読んでないこともあって、余計新鮮に面白がれた。
アクションシーンはちゃんとかっこいい。世界観のリアリティが低い分、主人公等の身体能力も凄いことになってて、予想もしない動きを次々見せる。建物に俊敏に登ったり、高いところから風に乗るように飛び降りたりするところは、この映画のアクションの特色だろう。
シロの描く拙い絵が素晴らしい。自然な、シロの心境が伝わる絵だ。狂ってイタチを描く様もグッと来た。ちゃんと何かに怯え、気が狂っているように見えたし、周囲の反応も自然ではなかったか。画中画をリアルに描けてないアニメが多い気がするので、貴重な成功例だ。
中盤から出てくるヘビと三人の殺し屋は面白かったが、殺し屋の振る舞いはやや残念だった。高速で移動できるのに、すぐに主人公達を捕まえて殺したりはせず、のろのろしていて違和感があった。そのまますぐに剣で刺したり殴ればいいものを、もたもたするせいで結局逃がしたり、負ける。シロに刺した剣も急所を外していた。偶然で勝てたはOKだが、手加減してもらって勝てた、ではしっくりこない。
イタチのアクションはその意味ではカッコよかった。すごいスピードで動けて、強いから勝ったという感じ。イタチのシーンだけは、殺し屋もまともに戦っていた。
パッと見ても背景の密度感や絵の質感など、生々しい感じに仕上がっている。
やはりこの映画は記憶に残る独特の色を持っている。
物足りない
原作は未読。
あまりハマれなかった。
孤独でいつか力で全てを手に入れられると思っている子供と奔放で不思議な子供が、汚れが渦巻く社会に憧れそれを象徴する街を舞台にした妄想話。と考えれば少しは納得がいくかもしれない。
見る前、見ている途中(主に前半)はかなり期待を維持していたが、段々お話運びが雑になっていき、終盤は延々とそれらしいイメージ映像を連ねただけになって何が言いたいのかわからぬままに映画が終わってしまった。ヤクザとかいつの間にかいい奴っぽい扱いをされてたが、序盤の汚い人間の雰囲気はどこにいってしまったのやら。そしてなにより結局主人公成長してなくね?最初と同じじゃね?なのに何故かメッセージ性というか、テーマみたいなものをセリフでずっとしゃべっている。シロとクロ。この二人のお話が一応のメインなのだが、二人が引き裂かれるきっかけにあまり腑に落ちず、そこからお話がだんだん納得がいかずどうでもよくなっていった印象である。
そして気になっているのが、時折出てくる超能力的なものはなんなのだろうか。殺し屋の三人組とか。作品の中のリアリティも欠けてしまっていると思う。クロの跳躍力はどう見ても人間じゃない。序盤のヤクザの事務所みたいなとこで起こるクロの暴力シーン、あそこはとても面白かった。この世界観で暴力を主軸の話にするなら新鮮かもと。…そんなことは起こらずな結末に。後半など特にそうだが、この広げた風呂敷をやっつけで畳もうと無理に描いたイメージ映像に、何か特別な深い意味をくっつけられる人は、それはもう素晴らしい一昨になるのではないだろうか。
悪いところばかりではなく、とても面白く見た所もいくつかある。とくに作画と演出と美術。これは恐ろしくよく出来ていた。これだけを見るのでも価値はある。あのレトロヒューチャーみたいな街など、あそこに行って見たい!と終始思っていた。ぐるぐる動く作画も新鮮で、同じ実験的な絵作りで有名なシャフトの「魔法少女まどかマギカ」より全然素晴らしいと思った。演出も、会話中も常に飽きさせない工夫を凝らしていて好感が持てる。それに付け加え声優陣もとても良かった。主演二人の二宮和也と蒼井優の演技は文句のつけようがない。
総合的に、いい所はあるものの、あまり自分には響いてこない雰囲気映画かなあと思ってしまった。
クロとシロの心の補完
ASIAN KUNG-FU GENERATIONの主題歌から入り、
原作の漫画を読み、映画を観ました。
「ネコ」と呼ばれる親の居ない兄弟?2人の心の成長をテーマにした作品。
特にグッと来たのは何度も繰り返されるセリフ
「クロの持ってないネジ、シロが全部持ってた。」
冷静で兄のようなクロと情緒不安定だが心の豊かなシロは
お互いの足りない部分を補完し合って生きてきた。
きっとこれからもそうやって生きていくんだろうな。
ヤクザ側にもドラマがあって
親のいない環境からヤクザでのし上がってきたネズミと
彼を慕うが組からネズミを殺すように言われた木村の対峙は見どころです。
子供向けの面白い映画かと思いきや、大人向けの感動ものでした。
独特の絵のタッチ、配色、構図など
強く引き込まれるような世界観の映画です。
子供の頃確かに鉄コン筋クリートと間違えたりもしたけど、でも題名と違い映画はかなり大人向きアニメだぞ!
イヤ~驚き!!!何でしょう、これ?もう最高でした!!!
友人に勧められて渋々レンタルしたが、これは最高でした!しかしこの作品はやっぱり、日本のアニメって言うより、断然ハリウッド映画の乗りですよ!それが嫌とか、変とか言っているのではなくてめっぽう気に入ってしまいました!!!
アニメは宮崎監督の作品くらいしか観ていないので、詳しく無いから、決して他のアニメとの違いに付いてのウンチクなどは出来ませんけれどね。
このファーストシーン観て先ず連想したのは、「スパイダーマン」です。
画的に上下の動きがとっても多く、横の素早い動きも勿論ありますが、アニメは実写ではないので、2次元だけれど、これは3次元空間にシッカリと観える様に出来ていて、背景画の映像などは、普通と変わらず、2次元の街並だったりするのだけれども、人物の動きが大きく上下左右に跳び回るので、人によっては、観難いと思われる方がおられるかも知れないが、しかし躍動感とか緊迫感が有り、迫力満点で、一般アニメより、動きがデフォルメされ、同じアニメでも命が吹き込まれて生きた人間を観ているように感じられるので、観ていて、キャラクター人物に容易に感情移入が出来る利点が有る様に感じました。
あなたは観てどんな感想を持たれるのかも、とっても楽しみです!
「カンフーパンダ」などの作品より、何かリアルに思えるのは何故なのだろうか?あの映画も躍動的では確かにあるのだが、CG特撮にどの様な違いが有るのだろうか?専門で無いので解りませんが・・・
さて物語の原作は、ビックスピリッツの93年から94年に連載されていた松本大洋氏の作品で、マイケル・アリアス監督は、95年にこの原作を読まれて、気に入られていたと言う。
すると、10年間もこの作品を監督が心の何処かで、大切に思っていて、映画化出来る日を夢見てそのまま10年の歳月が流れていたと言う事になる。
そりゃ、凄いよね!だから、日本のアニメでありながら観ていて、まるで実写のハリウッド映画を観ている様に錯覚をしてしまう、画作りが出来上がったのだろうね~!
このマイケル監督は、J・キャメロン監督のADを皮切りに、D・クローネンバーグ、スパイク・リー、コーエン兄弟、そしてR・アルトマン監督達の作品の特撮を手掛けているのだとか、それはそれはもう、素晴らしい監督の現場でばかりの、ご縁を得ている人なのだから、良い仕事を沢山吸収してこられた監督さんだと思うのだ。
それだけ、凄い監督達の元で仕事が出来ると言う事は、この監督も、只者では無くもっともっと、ビックな監督にきっとなる才能が有る方なのだろう!
私は未だ、この監督が初めて実写にトライしたと言う「ヘヴンズ・ドア」を観ていないのは残念だけれども、近いうちに観てみようと思う。
この物語の、シロとクロ、お互いの足り無い部分をお互いに補い合っている兄弟だと言うこの設定の素晴らしさは、正に哲学の究極ですね。地球で暮らす私達にとっては、この世界の総ては2極同時に無くては存在し得ない世界だから、クロ=闇は光の存在無くしては、
闇だけでは存在出来ないし、光が生れると必ず闇が生れる仕組みになっている。この2極の性質を心の中でどの様に、自分自身が扱って行く事が出来るかで、この街=自分の住んでいる世界、と言うより、生きているその人の人生そのもの、その人の心の世界その物が、善と悪との間を常に行きつ、戻りつして、そのどちらに固まってしまう事無く揺れ動く事でバランスが保たれ、どうやら、人が生きて行く事が可能と成る街の維持が可能となっていると言う事だもの、本当に日本のコミックも奥深いよね!この話も絶対単なるコミック冒険アドベンチャーものとバカには出来ません!海外の人達から日本人を観ると、いい歳の大人が大勢コミック漫画ばかりに熱中しているなぞ、次元が低いとバカにされる事も有るけれど、日本のコミックを漫画で在るからと、それだけの理由ではバカには出来ません!
是非。ご覧になっておられない方には、お薦めします!!!
こちら地球星、シロ隊員。
アニメ作品で大切なのは“世界観”だ。アニメやコミック作品を実写化した時に起きる大きな違和感は、アニメの独特な世界観を実写ではとうてい再現できないからだ。逆に言うと、簡単に実写化できるアニメ作品は、アニメ作品である必要が無い(極論・・・汗)。それで言うと本作の実写化は絶対無理!このキャラクター、この舞台、このストーリー、全てにおける独特の世界観にどっぶり浸らせてもらった。正直、松本大洋の画風は苦手な私、主人公のクロ&シロはもっと美少年の方がいい・・・などと思っていたのだが、観終わると本作にはこの画風でしかありえないと断言してしまう。
まず、舞台となる「宝町」がものすごく魅力的。全体的に昭和のノスタルジーを感じさせつつ、ここかしこに出現するオリエンタル(インドか?タイか?)な建造物。現代でも過去でも未来でもない風景。ごった煮の猥雑さ。細部に至るまで描き込まれた風景や小物を、静止画でじっくり観たくなるほど、美術スタッフのこだわりを強く感じる。そこを縦横無尽に飛び回るクロとシロ。疾走感溢れるテーマ曲も相乗した躍動感!それでいて、孤児たちの、ヤクザたちの、寂しげな表情が胸にグッとくる。
人気タレントを声優としてキャスティングするのには懐疑的な私だが、本作のキャストは1シーンのみの登場だった森三中も含めて、全て合格点。特に卑劣な殺し屋をいやらしくネットリと演じた本木雅弘と、違和感無く少年になりきった蒼井優が好演。個人的に、全てウィスパーで通したイタチ(クロの闇の分身)役の二宮の声がツボ。主人公の2人の少年はもちろんのこと(余談だが、クロの着ているTシャツの文字がいつも気になった。「クロ」や「96」に混じって「血」って!)、脇役に至るまでキャラクター設定がきちんとしていて良い。哀愁漂うヤクザや、不感症のくせに子供好きな刑事など皆良い味を出しているが、私が個人的に好きなのは、伊勢谷友介演じる若いヤクザの情婦。超脇役ながら、男性登場人物の中で唯一といっていい女性キャラクターは、高いが静かな声で話し、控えめで、男に何をされても黙って耐えるタイプ。彼女の妊娠を機に、男はヤクザから足を洗い、宝町を出て行くことにする。幸福な未来設計だが、おそらく彼女は男から子供を墜ろせと言われても、文句言わずに従っただろう。彼女は子供の父親が目の前で殺された時に「絶対男の子は産まないわ」と呟く。この時彼女は、自分1人で子供を育てることを決意したのだ。彼女は違う町で、“女の子”を育てるだろう、戦いを好む男の子ではなく・・・。この女心の機微までも描く本作は、アメリカ公開時にR指定を受けただけあり、決して子供向けアニメではない。ほのぼのとした画風とは異なり、暴力シーンや、ストリップ劇場のシーンなど、視覚的な過激さばかりではなく、子供が持つ“闇”を描いているからだ。しっかり者のクロが、ちょっと頭の弱いシロを肉体的に守る半面、闇に引き込まれるクロの心の穴に自分のネジを埋め込み、光の世界へ導くシロの精神的な支え。切っても切れない強い絆で結ばれた子供たちをギュっと抱きしめたくなる。シロを手放したクロが、シロを求めて、虚ろに町を探し回るシーンがあまりにも切ない。
この町で生きる2人の子供の、強さ・激しさ・もろさ・純粋さ・・・。この町で身を寄せ合う2人の子供の、信頼・愛情・絆・力・・・。この町で戦う2人の子供の、危うさ・儚さ・切なさ・優しさ・・・。
シロがいるからクロは幸福。クロが幸福なら宝町は平和。宝町が平和なら地球は光に満ち溢れている。そうしていつか、シロが蒔いたリンゴの種も芽を出すだろう・・・。
「モシモーシッ、こちら地球星、シロ隊員、応答ドウゾッ!今日も地球の平和を守りました!報告終わりっ!」
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