エラゴン 遺志を継ぐ者のレビュー・感想・評価
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飛び飛びのシーン、高圧的な主人公...
原作は読んでいないが結構分厚い本なのでだいぶ端折って映画化したのかな?と言うイメージ。急に旅に連れ出されたり気づけばやたら魔法が使えたり、なんか間にもうちょっとありそうなところをぶった切ってゴリゴリ進む違和感。そして師匠枠のブロムに対してもドラゴンに対しても妙に自信たっぷりで高圧的な主人公にいまいち共感できず。なんかドラゴンを常に手下みたいに扱ってて、対等な立場で心を通じ合わせるみたいな感じがしないんだよな...。あと途中から助けてくれるヤツ(敵の息子?)も、一応その説明はあるものの親子の絡みは全くなく中途半端。スケールの大きい壮大な景色や戦闘シーンの迫力はあるのに残念。中ボス倒して終わっちゃったけど、続編はあるのか...?
子供心を掴むでしょう
お子様向けファンタジー・アドベンチャー、解説によると原作者クリストファー・パオリーニが15歳の時に書いたというから驚きだ、4部作とも言われ壮大な物語だが映画は簡略化しすぎていると原作ファンからは酷評だったようだ。
ドラゴンが出てくる映画ネバーエンディングストーリー(1984 )をはじめ大人気、本作は卵から恐竜を孵し、まるでペットのよう、背に乗って空を飛べるし話もできるドラゴンと子供にしてみれば夢のようなプロット、悪い魔法使いとの対決はハリーポッターみたいですね。
既視感はあるしストーリーも既定路線だが王道の子供向け映画に仕上がっています。
ただ、戦国時代が舞台なので武力がものをいう世界観、これを観た子供たちが勇敢な兵士に憧れるとしたら問題かも知れませんが、映画ファンには野暮な話ですよね・・。
例によってシリーズ化を目論んだ終わり方でしたが興行成績が悪かったのか未だ無いようです。
主題歌に惹かれて観て、作品にハマりました。
2007年元日に“新宿プラザ劇場(2008年の秋に閉館)”にて鑑賞。
2001年の『ハリー・ポッターと賢者の石』の大ヒットをキッカケにブームとなった“ファンタジー小説”の実写化作品で、私が最も愛してやまない作品が本作『エラゴン-意志を継ぐ者-』であり、この手の作品のブームが過ぎ去った今でも、「この続きが観たい」と思う作品の一つでもあります。
巨大な竜の使い手として繁栄を続ける王国を守ってきた“ドラゴンライダー”の一人だったガルバトリックス(ジョン・マルコヴィッチ)がライダーたちを裏切って、彼らを滅ぼして、帝国を築き上げてから数十年が経過し、帝国に反乱を起こした勢力のアーリア姫(シエンナ・ギロリー)が帝国からドラゴンの卵を盗み出し、それは貧しい農家の少年エラゴン(エド・スペリーアス)の手に渡り、エラゴンと帝国の運命を変え始める(ここまでが粗筋)。
自分は幼い頃から映画を山程観て育ったのですが、そのなかで“ファンタジー小説”の映画化は苦手なジャンルでした。私はシュワルツェネッガー、スタローン、ブルース・ウィリス、セガール、スナイプス、ヴァン・ダムといった肉体派スターの作品が大好きで、己の身体を駆使したドンパチなアクション映画がバイブルとも言えて、ファンタジー系な作品は『スター・ウォーズ』のようなタイプじゃなければ好きになれず、ファミリー層向けの作品もロクに観られず、『ハリー・ポッター』は子供向け過ぎて、『ロード・オブ・ザ・リング』は壮大すぎて、話も長かった為に一作目で断念したので、ファンタジー小説の映画化作を自分が気に入る事は無いのかもしれないと思っていました。しかし、本作で、その思いは覆ったほど、話を楽しめました。
本作を観ようと思った理由は作品に惹かれたのではなく、主題歌がアヴリル・ラヴィーンの『Keep holding on』だった事(エンドロールで流れるのですが、それは予想よりも短く、アピールとしての主題歌であり、実際はイギリスのシンガーソングライター“JEM”の『Once in every lifetime』が本当の主題歌という意外性に驚きました。この曲も気に入っています)で、当時、その歌手のファンだった自分としては「劇場のサウンドで味わいたい」と思い、作品に期待する事無く観に行ったのですが、本編が始まると、グイグイと話の内容に引き込まれ、夢中(原作は読んでおらず、原作の存在は公開の一ヶ月半前まで知らなかった)になり、作品の内容ではなく、主題歌がキッカケで観る(何れ、レビューを投稿する予定ですが、現在までにそういう形で観たのが数本あります)というのは初めてだった(映画との出会いはどういう形で起こるのかが分からない事を改めて認識しました)だけに、余計に印象に残る一作です。
本作が面白いのは『スター・ウォーズ 新たなる希望(エピソード4)』をファンタジー要素を強めながらリメイクしたのではないかと思えるほど、そっくりな点で、これだけで大作やファンタジー映画のなかでは観る人を選ぶマニアックな作品だと言えて、決して万人ウケする内容ではないのがハッキリしていると思えます。VFXをILMとWETAデジタルの二大巨頭が手掛けているのに、ドラゴンの映像やアクションシーンを除けば、CG要素が少なく、大半が実写でロケしたように見え、もし、CGを使って処理した部分があったとしても、それが何処なのかが分からないというのも素晴らしく、本作が公開された頃の大作の大半が俳優のデジタル・ダブルに頼って、リアルさが薄れていて、そういうのにウンザリし、「CGって何の為にあるんだろうか?」と疑問を持ったことも少なくないので、本作のように何処で使っているのかが分からないというのは良心的で、技術に頼りきっていないというのが素晴らしいです。この手の大作なら、VFXやSFXとして何か新しい技術が使われているというものがある筈なのに、それが無いという(小さな部分であるのかもしれませんが、この分野に詳しい人じゃないと気づかないぐらいのものでしょう)点でも、珍しい作品で、本作が2006年のクリスマス・正月映画として製作されたのは奇跡(2008年のリーマン・ショックが起きてから製作されていたとすれば、製作費は大幅に削減され、中規模の会社が全面的にVFXを手掛けていたのではと思うことがあります)と言えるでしょう。
この頃の時点で大作ならば、2時間15分から2時間30分ぐらいの上映時間は当たり前と認識しているのですが、本作は1時間45分ぐらいと短く、テンポ良く纏められ、小難しさや説教臭さが無く、原作の大部分を削って作られているようですが、このテンポの良さが見易さを加速させ、壮大で深いテーマ性は無くても、普通に面白く、『スター・ウォーズ』で言えばオビ=ワン的な立場を担うブロム(ジェレミー・アイアンズ)が「勇敢だが、愚かだ」とか「行ってから謝ればいいんだ」といった心に響く名言を口にし、立ち位置が分からない形で登場するマータグ(ギャレット・ヘドランド)とエラゴンの自然な形で生まれる協力体制、ガルバトリックスとダーザ(ロバート・カーライル)のまんまなパルパティーンとダース・ヴェイダー的な関係の悪役の魅力(ジョン・マルコヴィッチが悪役というだけで、微笑みが止まらない)、本作唯一のヒロインであり、姫というよりは女王的な貫禄の漂うシエンナ・ギロリーの存在感、エド・スペリーアスが主人公に命を吹き込み、その冒険の数々に、冒険を夢見ることが出来なくなりかけの年齢にあった自分としては、「このような世界があったら、自分も冒険したい」と思わせ、派手さは少ないですが、自分にとっては格別な作品と言えるほど、大好きな作品で、興行的、内容的に失敗し、続編企画が中止となり、リブートやテレビドラマとして甦る事も無いのは残念です。本作で監督デビューを果たしたCGアニメーターのシュテフェン・ファンマイヤーは本作以外に監督作を発表せず、VFXスーパーバイザーに戻ってしまい、彼が携わる作品を目にする度に「もう一度、チャンスを与えてほしい」と思う事もあるぐらい、本作でのファンマイヤー監督の演出も気に入っています。
あまり壮大じゃなく、気楽に観られるB級のファンタジー大作をご覧になりたい方にお薦めします。ただし、アーリア姫の声を務めた“小雪”の棒読み吹替は酷すぎるので、字幕で観るのが一番です。
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