アスファルト・ジャングルのレビュー・感想・評価
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暗い時代の反映
昔NHKの夜に銀河テレビ小説のシリーズで「まんが道」というドラマが、ありました。藤子不二雄のトキワ荘時代を舞台にした青春物ですね。手塚治虫が藤本と安孫子を映画に誘います。その映画がJ・ヒューストン監督「アスファルト・ジャングル」でした。今となっては御三家から感想をお聞きしたいところです。
この映画は今から三四半世紀(75年)前に作られたせいか古さはあるんですよね。金庫破りにニトログリセリン使って爆発・・・て雑すぎ。
S・キューブリック「現金に体を張れ」にも影響を与えた犯罪映画の原典とも言われています。私はQ・タランティーノ「レザボア・ドッグス」の元ネタかと思いましたが全然違ったです。「レザボア」は、ほとんど男しか出てきませんが、本作品は女優さんが出てきます。マリリン・モンローが出てるのは嬉しい誤算です。
50年代はアメリカにとっては暗黒時代とも呼ばれています。マッカーシー議員による赤狩り旋風。最後のハーディ本部長の演説はFBIのプロパガンダ映画にも見えかねません。この時代はFBI長官フーバー猛威を奮ってC・チャップリンもアメリカを追い出されています。時代の空気感を反映してか映画は暗いです。
クライム(犯罪)アクションで犯罪者が主人公の場合は、だいたい結末は分かります。歯車が狂って逃亡・・・私こういうの苦手で追われる人に同化してしまうんですね。T・マリック「天国の日々」の後半観てて辛かったです。
この映画に関する分析や評論を、いろいろ読んでみたいのですが古すぎて無い状態です。ほぼ忘れられた作品となっております。
ジョブ型雇用
ストーリー:綿密な計画で実行された宝石泥棒。完全犯罪のはずが、ほころびが出始め警察の手が迫る。
泥棒チームのメンバー選定があっというまに進むので、そんなんで完全犯罪できるのかと要らぬ心配をしてしまう。メンバー選定もそうだが、泥棒シーンも淡々と進み拍子抜けするくらいだ。泥棒シーンは一見シナリオ通りだが、想定外のことが徐々に起こり完全犯罪に楔を打つ。
犯罪のほころびが見えてくる辺りから、各犯罪者が微妙に最適解から外れた対処をとっているのも見ものである。
あまりどの登場人物に肩入れするでもなく全員との距離を保った描き方。それは特徴的で有意義な試みではある。しかし犯罪映画に期待するような興奮感が得られず、映画全体に乾燥砂漠が広がっている様な白けた感触がある。それがアスファルト・ジャングルということなのかな。
具体事例を淡々と述べるだけの進み具合に「夜明け前」という小説を思い出してしまった。全然異なるシチュエーションではあるが。
今週の気付いた事:彼こそルパン。
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