「降りしきる雨のような銃弾に斃れても」明日に向って撃て! かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
降りしきる雨のような銃弾に斃れても
監督は『スティング』のジョージ・ロイ・ヒル。
原題は『ブッチ・キャシディ&ザ・サンダンス・キッド』。
かの『ワイルド・バンチ』を名乗る銀行強盗集団の首領二人の台頭から行く末までを鮮烈に描いた、西部開拓時代を舞台にした青春映画です。
↓ラストまでネタバレしますのでご注意を↓
【ストーリー】
ブッチ・キャシディ(ポール・ニューマン)とサンダンス・キッド(ロバート・レッドフォード)は西部にその名轟く悪漢だった。
悪党仲間の手引きでユニオン・パシフィック鉄道の列車強盗を大成功させると、その後も次々と仕事をこなし、彼らの強盗団は「ブッチ・キャシディとワイルド・バンチ」と名乗る大きな犯罪組織にまで成長する。
彼らに手を焼いた鉄道会社は"ピンカートン探偵社"(実在の警備企業)にその排除を依頼する。
手強い敵の出現に、命からがら逃げ延びたワイルド・バンチたち。
追跡者たちはなおも迫り、仲間はちりぢりになり、彼らは南米ボリビアへと向かう。
そこでもやはり銀行強盗になった二人は、またもお尋ね者になってしまう。
BJトーマスの歌う『Raindrops Keep Fallin' on My Head(雨にぬれても)』。
人生で一番好きな曲です。
散々聴いたし歌いました。
小学校の運動会でかけっこの時に流れてたこののんきな曲が、まさかこんなに激しい西部劇の主題歌とは思いませんでした。
ところでワイルド・バンチ排除を依頼されたピンカートン探偵社ですが、ウィキペディアをななめ読みでもいいから、知ってほしい恐るべき民間組織。
めちゃくちゃ面白いですよ。
こんな会社作った当時のスウェーデン人荒ぶっててこわい。
アメリカン・ニューシネマらしく物語の展開は唐突で演出も砂漠のようにカラッと乾燥していて、ヒロイン・エッタとの出会いや別れもごくあっさりとしたもの。
二人とも執拗な追跡にあい、映画のラストは砂漠で軍隊に十重二十重と囲まれます。
手負で不敵に笑いあい、銃を手に飛び出したところで映像はストップ。
うろ覚えですが、テレビではここでRaindrops Keep Fallin' on My Headが流れ、悲壮感のないのんびりしたフレーズが、二人の悪漢のラストシーンを飾りました。
アメリカン・ニューシネマだなあ。
自分の人生の終わりにも、頭の中でこの曲かけよう。
ニューシネマといえば、爆発シーンも怖い怖い。
口論の最中にすぐそこにある貨物車を爆発させるんですが、完全に特殊効果の人のカンでやってて安全性度外視だろうという恐ろしさ。
昔の映画のアクションシーンって、本当に危険な事している作品が多くて、ちょっと手に汗にぎります。
あの感じ、いまだにCGじゃ出せないんだよなあ。
史実では、ワイルド・バンチ消滅後の二人の行方は確認されていません。
「俺たちは自由さ。だからなんの心配もいらない」
主題歌のサビ。大ざっぱに和訳したらこんな感じ。
アメリカを震撼させたブッチとサンダンス。
稀代の悪党の最期を朗らかに謳いあげたラスト。
どんな感想を抱くかは、あなた次第です。
コメントありがとうございました
> あの二人、ホントにオーストラリアに到達したのかも
ふふ。確かに、そうだったら楽しい。
余韻を残すエンディングの素敵なところの一つには、そういう想像を膨らませることができるところもありますよね。