劇場公開日 1939年4月

「【”幾ら金を設けても、あの世までは持って行けない。けれど、自由に生きるには勇気が居る。”フランク・キャプラ監督が観る側に問いかける豊かな人生とは何であるかという命題を見事に描いた作品。】」我が家の楽園 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【”幾ら金を設けても、あの世までは持って行けない。けれど、自由に生きるには勇気が居る。”フランク・キャプラ監督が観る側に問いかける豊かな人生とは何であるかという命題を見事に描いた作品。】

2024年1月21日
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鑑賞方法:VOD

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■軍需企業の経営者カービー・アンソニーは工場用地の拡張を目論むが、ヴァンダホフ老人を長とする風変わりな一家が立ち退きに応じない。
 そしてカービーの息子で副社長のトニーは、その一家のヴァンダホフ老人の娘である秘書アリスに夢中だった。アリスも又、同様である。
 ある日、トニーは両親を伴って約束の前日にアリス一家を訪れるのである。アリス一家の真なる姿を見せるために。

◆感想

・アリスの父、バンダーホフ老人の達観した数々の名言が染み渡る作品である。

 - 30数年、所得税を払わない事に対し、”国はその金で何をした!我々に何を齎した。戦争に費やしているだけではないか!”と悠々と述べる姿。
   正に今の日本と状況は同じではないか。-

 - ”幾ら金を設けても、あの世までは持って行けない。けれど、自由に生きるには勇気が居る。”と軍需企業の経営者であり立ち退きを強いるカービーに語りかける姿。-

・カービー家と、アリス家の人々の貧富の差がありながら、真に幸福そうに過ごしている一家はどちらであるか・・。
 - それを見たアリスにプロポーズしたカービーの息子で副社長のトニーは、職を辞すると父に告げるのである。-

<今作が素晴しいのは、ラストでバンダーホフ老人の数々の言葉に感銘を受けた軍需企業の経営者カービー・アンソニーの態度である。
 彼は、バンダーホフ老人と二人で話し合い、人生の真なる豊かさを理解し、用地買収を止め楽しそうにバンダーホフ老人と踊り、バンダーホフ一家と食卓を囲むのである。
 今作は、鑑賞側に真なる人生の豊かさとは何かを伝える作品であると、私は思った作品である。
 今更ではあるが、フランク・キャプラ監督って矢張り凄いな、と思った作品でもある。>

■トーンは違うが、真なる人生の豊かさとは何かを伝える作品であると勝手に思っている近年の作品ではダントツで心に響いた現代の名監督であるヴィム・ベンダース監督の「PERFECT DAYS」の三回目の鑑賞を真面目に考えている。
 私は、苦手だったホラー映画も好きになったが、基本的に今作の様なヒューマンドラマが好きなのだな、と思った作品でもある。>

NOBU