「現代映画の試金石」レイダース 失われたアーク《聖櫃》 pipiさんの映画レビュー(感想・評価)
現代映画の試金石
映画プロデューサーのキャスリーン・ケネディは本作を「現代映画の試金石(touchstone)になった」と述べた。
まさしく彼女の言う通りであろう。
本作以前に「アクション・サスペンス・ミステリー・コメディ」をバランス良く詰め込んだ「大人向け冒険叙事詩」な映画は存在していないのだ!
(ミステリーは推理のみならず神秘って意味含めてね)
近い作品と言えば「007シリーズ」と「スターウォーズ」であろう。
しかし、見比べて欲しい。
当時の007&スターウォーズと、この「レイダース失われたアーク」を!
ハラハラ・ドキドキ・ワクワク・痛快・爽快などの点において興奮と笑いの度合いが違うはずだ。
何故か?
それはルーカスが「観客は『物語』よりも『ジェットコースターに乗る事』に関心がある」と看破し、それを作品作りにおいて意識しているからだ。
その為、最初にトート役としてオファーを受けたクラウス・キンスキーは脚本の稚拙さを理由に断っている。それもわからなくはない。
(「ジェットコースタームービー」=「ローラーコースタームービー」という言葉が生まれたのは本作に対するルーカスのインタビューからである。
本作こそが正真正銘「ジェットコースタームービー」の元祖なのだ。)
本作以前のアクション大作と言うと「駅馬車」(ジョン・ウェイン&ジョン・フォード)や「隠し砦の三悪人」(三船敏郎&黒澤明)などの西部劇・時代劇まで遡ってしまうのだ。
そして本作以降、キャスリーン・ケネディ(と、フランク・マーシャル。キャスリーンはフランクマーシャルの奥さんです)がプロデュースしたラインナップを見れば
「バックトゥザフューチャー」
「グレムリン」「グーニーズ」「アメリカ物語」「ヤングシャーロック」「ロジャーラビット」「ジュラシックパーク」
などなど
「ジェットコースターに乗る事と同じ」部分を刺激される作品が生み出されていく。
ルーカス、スピルバーグ、ゼメキスに限らず80年代の名作映画達はみな「遊園地的な魅力」を内包している。
こう考えると、本作こそがまさに「映画創世記」から「現代映画」への転換点たる分水嶺だった!という事が分かるであろう。
映画史におけるこの貴重なる価値は、星10をつけたってまだ足りないと思う。
物語を牽引する「インディアナ・ジョーンズ」という魅力的な人物の造形は
ジェームス・ボンドをベースにクリント・イーストウッドと三船敏郎のイメージを重ねて生み出された。
ルーカスとスピルバーグが少年期に夢中になった数々の1930年代冒険活劇ヒーロー達への(数多いB級作品みなひっくるめて)オマージュなのだ。
生まれながらにして「理想的な冒険者」を体現するインディは決して超人的な戦闘能力を有するスーパーマンではない。
どこの学校にも1人はいそうな
「頭が良くて、腕っぷしも強くて、正義感は強く真面目なところもあるけれど、カチコチの校則なんかにゃ従わない少々ヤンチャで魅力的な男の子」だ。
この役がハリソン・フォードに決まった事は本当に本当に良かったと思う。
いつだって「チャーチャ・チャ・チャー♪チャーチャ・チャー♪」というテーマ音楽を聴けば心が躍る。
何度観ても面白い。
映画史に燦然と輝く名作がまた一つ誕生したのだ。
※余談
今回、初めて息子が告白するには
「小さい頃、初めて観た時、インディが『目をつぶれ!』って言うから素直にずーっと目を瞑ってて、クライマックスに何が起こったのか知らなかったんだよねー。でも結構怖いから見なくて良かったと思ったけど」とのこと。
そうだったのかー、息子よー!(笑)
幼き日の姿が瞼に浮かび、微笑ましさと共に心温まる母でありましたw
pipiさん、共感&コメントありがとうございます!
ベロックのハエにまで言及していただき感謝です。
新車が納車され1カ月以上経つのに、未だにご報告できなく申し訳なく思ってます。実はクラウンクロスオーバー!
仕事に振り回されています・・・