「二度と戻りたくない「あの頃」の空気」リリイ・シュシュのすべて hhelibeさんの映画レビュー(感想・評価)
二度と戻りたくない「あの頃」の空気
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「学生時代のトラウマ」と「ザ・岩井俊二ワールド」を、煮込んで煮込んで濃厚なカプセルにしたような映画だった。
学生時代にクラスメイトが自殺したことも、レイプされたことも、援助交際したことも、万引きして捕まったことも、そこまで露骨にいじめられたこともないけど、この鬱屈した空気は知ってる。
二度と戻りたくない、あの空気。
精神的に未熟で傷つきやすい子どもたち数十人を無造作にひとつの箱に閉じ込め、そこを「世界のすべて」にしてしまうことで生じる歪み。
虐げる者、虐げられる者。
虚勢を張るか、空気になるか、ひたすら耐えるか、飛び降りるか。
人生が障害物競走だとすると、中学・高校時代には人生の中でも最も強い障害が立ちはだかっていると思う。
しかも、その頃の私たちは、まだ上手に走る方法を知らない。
映画を見終わって「もうあの頃には戻らなくていいんだ」と心底ホッとした。
「あの頃」をなんとか切り抜けた自分を抱きしめてやりたい。
…という映画の内容とは別に、市原隼人、蒼井優、高橋一生、勝地涼などの若い頃がたくさん見られて楽しい。
主人公の母親は松田美由紀だと思ったら、フジテレビアナウンサーの阿部知代だった。
あやしいおじさんが大沢たかおに似てるな―と思ったら大沢たかおだった。
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