ランボー 怒りの脱出のレビュー・感想・評価
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カタルシス溢れる80年代アクションの傑作
何度もTVやビデオで観てるんだけど、劇場で観るのは初めてで、大迫力アクションてんこ盛りの痛快作でした。第一作は、あえて原作の結末を改変することで当時のベトナム帰還兵への差別を訴え大ヒット。今回は、未帰還兵救出をテーマに、ベトナムへの落とし前だけでなく自分達を消耗品扱いにした軍上層部への落とし前までつけてくれるわけで、当時アメリカで大ヒットしたのも納得です。そんなアメリカの事情とは関係なくこの作品が面白いのは、耐えに耐えた主人公の怒りが爆発して敵を粉砕するカタルシスが、万国共通だからだと思います。最近のアクション映画は、CGの技術展覧会みたいで、映像はきれいだけど燃えるものが少ないですね。役者では、スタローンの第一作に続いての紛れもない代表作で、鍛えあげた肉体で役柄と一体化しているようです。弾帯を左手に巻きつけ片手で重機関銃をバリバリ撃ちまくるラストは名シーンですね。紅一点のジュリア・ニクソンも強さと美しさが魅力的でした。脚本にジェームズ・キャメロンが参加しているだけに、サラ・コナーの路線を意識したのかも。
それでもやっぱり気になるアメリカの視線
アクション映画としての面白さは置いておくとして(それを置いといてはいけないのかも知れませんが)、やはりベトナム戦争の描き方が気になります。
ベトナム戦争で傷つき国家への恨みを募らせたランボーを再びベトナムに送るのに「まだ戦地にPOW(戦争捕虜)として捕らえられている兵士を助け出す」という動機が与えられます。その任務を際立たせる為には、「ベトナム兵は凡庸なのに残虐」という描写が必要となります。でも、本作ではベトナム兵には「悪」としての魅力すら与えられず、それを放つのはベトナム軍の上に立つソ連将校なのです。その結果、ベトナム兵はモブ(群衆)としての役割でしかなくなります。
また本作では、ランボーが信頼を置く嘗ての上官トラウトマン大佐に「間違った戦争だったが、国を憎むな」と語らせます。しかし、何が間違っていたのかは全く語られぬままでした。もしかして、「勝てない戦争に加わった戦略が間違っていた」と言うだけなのではないでしょうか。傲慢なアメリカの帝国主義的驕りが誤っていたとは思っていないのでしょう。
更に、POWを救出しようとするランボーはその過程でベトナム民間人と思われる村を焼く事になってしまいます。何の罪もないのにあの火で死んでしまうベトナム人は仕方ないのでしょうか。
などと、ベトナム戦争に対するアメリカ人の視線は、小さなことも妙に気になってしまうのでした。
手加減なし
2024年劇場鑑賞282本目。
よくよく考えてみるとランボーシリーズは全部観た気でいましたがこれだけ観てなかった・・・。昔このランボー2だけファミコンのゲームになっていて、わんぱっくというファミコンをモチーフにした漫画だけ載っている雑誌があり、そこに連載されていたファミ魂ウルフという野生児がファミコンの中に精神を同化させて入り込んでスーパープレイを見せるというむちゃくちゃな漫画の中でそのゲームをプレイしていたのでほぼ映画のあらすじを知った気でいましたが全然違ってたぜ!
前作は弱いと思っていた人をコケにしたらめちゃ強でしたみたいな感じで最終作と通ずるものがあったのですが、一応警官相手ということで死なないよう手加減して戦ってくれていました。今作はもうそんな遠慮する必要がないので後半はやりたい放題で最高でした。ストーリーはうっすいので満点つけるのははばかられますが、観たいものは観られた感じでした。
スタローンの脚本家としての文才はもっと再評価されるべき。
アクション映画の不滅の金字塔『ランボー』シリーズが4Kレストア版となって40年ぶりに劇場上映。
早速、新宿ピカデリーさんへ。スケジュールの都合でまずは第2弾『怒りの脱出』(1985)から。
『ランボー/怒りの脱出』(1985)
本作が公開された1985年はアクション映画の当たり年、『ベスト・キッド』『ターミネーター』『コマンドー』『ロッキー4/炎の友情』と百花繚乱、そして本作以降ゴリゴリマッチョなアクション作品が『ダイ・ハード』(1988)公開されるまでレンタル店に激増しましたね。
今回見直してみると派手なアクションシーン以外にも脚本とテンポの良さが秀逸。
若きジェームズ・キャメロンがスタローンと共同執筆したことが近年話題に上がりますが、『ロッキー』でアカデミー脚本賞にもノミネートされたスタローンの脚本家としての文才はもっと再評価されるべき。
本作も94分の短尺ですが、きちん伝えたいテーマを織り込みながら、ベトナム・ソ連軍および身内の敵(マードック司令官)の憎々しい設定やコー・バオのさらっだけど深みのあるラブシーン、一切の無駄セリフやカットがなく、だれずにラストまで高揚感を持続させてくれたのは実にお見事でした。
※本編中「俺は消耗品(エクスペンダブルズ)だ」というセリフには驚きましたね。
もちろんアクションも現在ではあまり見ることが出来ないノーCGのゴリゴリの肉弾・爆破アクションは逆に新鮮、アクションや武器の選択とラストに向けた積み上げかたも抜群ですね。
もうひとつ評価すべきはジェリー・ゴールドスミスの劇伴。
「ここぞ!」というサスペンスフルで緊張感あるシーンにタイミング良くかかるんですよね。
本作は1985年度のラジー賞にて4部門受賞しているようですが、いやいや40年経った今でもアクション映画としては最高傑作ですよ。
アサシン、アーチャー、バーサーカー
ランボートリロジー4K上映にて鑑賞。
初めは穏やかだった瞳も、戦闘に身を置くに従いどんどん怒りに染まっていく。その怒りは敵兵だけに向けているのではなく、自国にも戦争そのものにも向けている。
敵地で、一人で、ゲリラ戦をやってのけるのは恐ろしい。
面白いと思いますけど
大ヒットしたし、痛快で面白いのにトマトは評論家38%一般60%の低評価でした。
第一作は評価高いですが、やはりベトナムの病巣を厳しくえぐった点が支持されたんでしょうね。
今回はスタローン先輩らしいといえばらしい全編アクションの連続です。
ベトナムの悲劇も若干引きづってはいますが飽くまでもストーリー展開上の添加物、といった趣ですね。
ベトナム人を300万人殺しても、まだ飽きたらず虫ケラのように殺しま...
ベトナム人を300万人殺しても、まだ飽きたらず虫ケラのように殺しまくる。
アメリカ人の残虐性がよく分かる作品。
路線変更がとても残念だった
前作の『ランボー』が、ベトナム帰還兵の悲哀というか、一般生活に溶け込めずにアウトサイダーとして社会からつま弾きにされる男の、情念の爆発だったのに比べて、今回は特殊任務を帯びたスペシャリストとしての、ミッションチャレンジ・アクションに変わってしまい、その路線変更にかなりがっかりしたものだ。
とは言え、これはこれでド迫力の戦闘シーンをフィーチャーした娯楽アクション大作になっており、一人の殺人マシーンが敵を倒していく様には単純に興奮する。何も考えずに身を委ねるにはちょうどいい映画かもしれない。
この映画の成功によって『ロッキー』のシリーズにも大きく影響を与えた作品。ロッキーは貧しい移民の子供が、ボクシングでしか自分の存在価値を示せずに、恋しい彼女にも振り向いてもらえない男が、チャンピオンとの試合を通じて自分の可能性を実現したお話しだったのに、いつの間にかとんでもないモンスター相手にリングの上で対決する方向性に変わり、ボクシングの描写は置いて行かれた印象が強い。エンターテインメント路線にシフトしていったのだ。
人間ドラマから、アクション大作に路線変更して、映画は成功しても、もともとのシリーズのファンには少し寂しく受け取られたんじゃないだろうか。
ランボー、怒りのおバカ火力を大幅アップ!
シルベスタ・スタローン主演&脚本。
脚本協力にはあのジェイムズ・キャメロンも。
ラジー賞4部門獲得の大傑作アクション。
【ストーリー】
前作の騒動により服役していた主人公ジョン・ランボー(シルベスタ・スタローン)だが、トラウトマン大佐から特殊任務に従事すれば特赦の取引きを持ちかけられる。
作戦内容は、かつてランボーが脱出したベトナム国内のアメリカ人捕虜収容所証拠をつかむ事。
現地に赴いたランボーは、虐待をうける仲間の窮状にガマンできず、彼らを救出しようとするのだが……。
前作『ランボー』こと『First Blood』がシリアスな社会問題を描いたカントリーアクション映画なのは、シリーズのファンなら皆知っています。
そしてこの『ランボー2 怒りの脱出』の原題が『Rambo: First Blood Part Ⅱ』と、アメリカ本国では初めて主人公ランボーの名を冠した作品であることも。
同年にあの『ロッキー4』も上映されており、どちらも空前の大ヒットと、スタローンがエンタメ方向に全力疾走していた時代です。
初代の『ロッキー』や『ランボー』が持たざる者の悲しい姿を赤裸々に綴ったのに対して、この頃の作風は「おバカでもいい、筋肉と爆発を心ゆくまで楽しんでほしい」路線に切り替わっています。
だってこのランボーったら、小さな爆薬をつけた矢を撃ち込んでありえない威力の爆発させたり、ムキムキの上腕二頭筋腰をカッコよく見せるために狙いなんか知らんとばかりに腰だめでマシンガン撃ったり、滝壺でヘリをホバリングさせながら寝たふりをして敵を油断させたり、バカバカし……おっとうれしいツッコミどころ満載なんです。
もちろんちゃんと捕まって拷問もされますよ!
なんだこの売り文句!
スタローンが世に出た初期を「スタローンヒストリー:貧者の時代」とでも名付けるとすれば、こちらは「ホット☆ショット!の時代」とでもしておきましょうか。おっと命名の解説はしないぜ?
誤ってタリバンに捧げちゃった次作『怒りのアフガン』でそのおバカ傾向はメーターをふり切り、なんやかやで20年ほど当シリーズをほったらかしの宙ぶらりんな「クリフハンガーの時代」に至ります。
その間にスタローン自身の成功や失敗、スキャンダルやシャウエッセンのCM出演なんかの迷走もありました。
我に返って『最後の戦場』『ラストブラッド』でスプラッタ残虐アクション描写に振り切っちゃう『エクスペンダブルズの時代』へと突入します。
ええ、今なおエクスペンダブルズ期です。
1946年生まれ、御年77歳のスタローンですが、いつまでこんな全力疾走アクション俳優でいるんでしょう。
ライバルだったシュワルツネッガー76歳はアクションよりも枯れた演技を重視するスタイルになり、お金大好きブルース・ウィリス68歳は認知症に、メルギブ67歳もハリソン・フォード81歳もとっくにアクションはスタントマンに任せ、同世代のスターたちがどんどんアクション現場からドロップアウトしてゆく中、若手(若くない)トム・クルーズ61歳とのチキンレースをいつまでつづけるのでしょう。
いやもう永遠につづけて欲しいんですけどね。
始まり方がいいよなー
1で自首したあと刑務所から始まるとか
1の続きが見れる事に当時異常にワクワクした記憶ありますね、ヒット作の続編という事で内容がパワーアップしていて 派手にはなってますし単純なアクションモノとはいえ スタローンがときかくカッコ良くてその頃のアクションスターといえばシュワちゃんとスタ公とチャックノリスとマイケルパレって感じでしたから(マイケルパレは実はかなりマイナー)
この作品もランボーと一緒に1カ月連続で見るくらい大好きで ランボーナイフが流行って 使い道なんて無いのにまあまあ買ってる人居ましたし凄い話ですよねー
ジュリア・ニクソン様・・・
反戦映画の秀作だった前作に対し、ランボーが超人になりすぎたきらいがあるんですが、それがあまり気にならないくらい凄まじいアクションの数々で、ランボー愛用のナイフや弓矢、そして機関銃の弾倉を腕に巻きつける仕草などは、幼いながらよくマネしたものです。そしてこの一作で消えてしまったヒロイン、コー・バオ役ジュリア・ニクソン‼️ランボーのピンチを助け、ランボーと将来を約束し、敵の銃弾に倒れ、ランボーの腕の中で息絶える彼女の姿は忘れる事が出来ません。それだけになぜランボーは彼女の形見のペンダントを手放したのか・・・?
2作目は只のアクション作品に
ヒーローランボー。
ヒーロースタローンの作品。
2作目は痛快アクション作品に。
当時の中学生や高校生男子にはたまらない作品でした。
それにしても、あんな華奢な綺麗な女の人があんな戦闘地域にいる不自然さ。(笑)
【”戦争は悪い事だ、だが祖国を恨むな!”強きアメリカ、弱気ベトナム、支援するソ連。だが、政治的背景は十二分に分かりつつ、幼き時に観たインパクトが強かった作品。】
ー 30年振りに鑑賞した。
細部まで結構覚えていて、ランボーがベトナム兵に捕らえられたMIA(戦時行方不明者)2500名を救出するために、第一作でも彼を助けた上官トラウトマン大佐の願いにより、再びベトナムに赴く。
だが、トラウトマン大佐も知らなかった上層部の指示を受けたマードック司令官が隠していた事・・。-
◆久方ぶりに鑑賞した感想
・今作は、御存じの通り1985年のラジー賞の作品賞を受賞している。正に、アメリカがベトナム戦争の悪夢を、勝手に無かった事にしようとしていた時代に、今作は公開されたのである。
・ストーリーも、”強きアメリカ、弱気ベトナム、支援するソ連”を前面に出しつつ進む。そして、ランボーを助ける地元の美しきベトナム女性諜報員パオ。で、彼女はあっさり殺されてしまう。
◆今でも凄く鮮明に覚えているシーン。
・ベトナム兵に捕まったランボーが、蛭がうようよいる沼に繋がれているシーン。あれは嫌だなあ。その後、登山をしている時に、蛭が大嫌いになったのは、この映像がトラウマになったからである。
(というか、蛭は大嫌い。アジア、日本の山岳の川沿いに沢山いる。)
・今作では、ソ連がベトナムの支援をしているように描かれているが、実際には支援という名の下、現在ロシアがシリア、アフガニスタン、北挑戦、インド、中国に軍事支援をして大金を得ている事は万民が知る所である。
<大変、懐かしく鑑賞したが
”戦争は悪い事だ、だが祖国を恨むな!”
と言う言葉は、大国を統べる男には、絶対に口にして欲しくないな・・、と現況下を観て思った作品。
ランボーシリーズはこの後、一切見ていないが、少しづつ観ようかな・・、と思った作品。
何故なら、このシリーズが公開時の世界情勢をどのように反映させているかを観るのも、必要かな、と思ったからである。>
名作と認定された第一作も良いが、のちのノンストップ・アクションに影響を与えた本作も良い。
刑務所に服役しているランボーに、恩赦を条件にベトナムへの調査任務に赴くが、味方の裏切りにより窮地へと落ちる。そして壮絶な怒りの脱出へ向かう
最初に脚本を担当したジェームズ・キャメロンの脚本は、スタローンなどによってかなり改訂されているらしいので、アクションシーンなどにどの程度の名残があるかは分からないが、当初はランボーに最初から相棒が同行するバディ・ムービーの要素も入っていたらしい。
その相手役は当初ジョン・トラボルタにオファーがあったと最近の記事で知ったが、実現していたらかなり映画の印象も違う方向になったかも。
最初にこの映画を観た時に感動したのは、中盤から後半にある絶対絶命のピンチからの爽快な逆転逆襲が繰り返されるシチュエーションの上手さと迫力に魅了された。
もちろん今の映画では当たり前で、もっと洗練されてカタチで繰り出される作品も多いが80年代前半では、割と珍しいくて、ノンストップアクション映画の走りでもある。
特に収容所での拷問から逆転場面は、映像と音楽も含めて盛り上がり爽快感がある。
ラストのヘリ同士の戦闘場面も性能的に不利な条件を、機転利かせて倒す逆転劇は、カット割も含めて手に汗握る。(狭い機内でロケット砲を撃つのには無理があるけど)
撮影を担当したイギリスのベテランの名カメラマンのジャック・カーディフの絵作りも流石な出来栄えで、ヘリを撮る構図も太陽を背にした逆光で撮影して不気味な強敵感を出したり、収容所のシーンでは画面の明暗差とストロボ光によってサスペンス演出したり、クレーンなどの移動やパンを使ってスケール感を出したりと雰囲気醸成に長けた手腕を発揮している。
『アフリカの女王』や『赤い靴』A級大作や巨匠監督の名作に携わってきた名カメラマンのジャック・カーディフ何故この作品に?と最初は疑問に思ったが、前後にも『戦争の犬たち』(傭兵アクション)や『コナンパート2』(シュワルツネッガー主演!)の撮影を担当していたり、本人の監督作の『戦争プロフェショナル』(これも傭兵モノ)や『悪魔の植物人間』(フリークスのリメイクに近い)や『あの腕にもう一度』(ルパン三世の峰不二子の元ネタ)などを見るとジャンル映画に愛着があったのではと思う。
撮影も当初はタイなどのアジアで行う予定だったが、ロケハンをした結果に想定した場所が無いので、メキシコのアカプルコ近辺の土地に、棚田やベトナムの村や捕虜収容所のセットを建てて行われた。
特に前半の救出ヘリの合流地点である棚田のロケセットの風景がコンパクトながら良く出来ており、そこでの戦闘場面は高低差の感じや水飛沫が飛び散る炸裂も迫力があり、ジャングル場面などが多くなりがちな画面に変化を添えている。
もう一つのロケセットでベトナムの小さな村での地上戦闘やヘリが通過する場面も現地感があり良く出来ている。
偶然見つけてロケしたと監督が言っていた、滝でのアクションも印象的で、滝壺全体にナパーム弾の炎が炸裂場面は、強烈で、沢山の火薬とガソリンを使った特殊効果CGとは違う迫力あるが、今だと環境面で出来ないのでは?思う。
余談だが、ラスボス的なソ連軍戦闘ヘリの部品が村の家に落ちる場面は、想定外のアクシデントで、部品がエキストラのすぐ近くに落ちるので、事情を知ると余計にヒヤリとする。
主演のスタローンの見事にビルトアップされた肉体と精悍な顔つきはランボーの孤独と忍耐強さを体現しており、多くのスタントアクションもこなしているのも好感が持てる。
現地協力者のコーとの交流によって信頼関係が生まれてきて少しずつ表情が変化してゆく姿も定番だけど殺伐した映画でなごむ描写である。
ちなみに劇中でエクスペンダブルの台詞が度々ありのちのシリーズの芽はここにもあったのかと感慨深い。
巨匠ジェリー・ゴールドスミスの音楽も、絶好調でノリが良く活劇場面も盛り上げてくれる。
監督のジョルジ・パン・コスマトスは、過去に欧州のオールスター大作映画で手腕を発揮している職人で、テンポ良く見せ場を繋いでおりアクション映画としては上級点である。
監督としては、ほとんど語られる事はない感じだが、問題のある現場をまとめて映画を完成させて、観客をそれなりに満足させて映画をヒットさせる能力には長けた人で、縁の下の力持ち的存在だと思う。
特に同じ様な題材で当時話題になった『リバイヤサン』(『アビス』や『ザ・デプス』の競作)や『ワイアット・アープ』と競作になった『トゥーム・ストーン』などは、娯楽性のバランス良くて楽しめる。
気になるのは、どうしてもランボーの最後の愛国的演説で、捕虜の救出とコーの復讐への行動を歪めてしまうところが、あり正直この部分は無かった方が良かったと初見した30年前から思う。当時のスタローンは、愛国主義を旗印した反ソ連臭のする映画の『ロッキー4』や「ランボー3』などもあり所謂良識派からは叩かれていたが、その後の傑作『クリード2』や『ランボー4』で自己総括をするのも凄いと思うしエクスペンダブルズシリーズでの多くの問題児をまとめて映画製作をする器の大きさは正にスター。
その時々政治や思想感を映画に出していたスタローンは映画にとどまり、時代性や思想性のない映画に出ていたシャワルツネッガーが政治家になっていたのは皮肉。
でちなみの本作のネガな部分や思想性を取り去った映画が、今でも無邪気に観られる傑作の一つでシュワルツネッガー代表作の『コマンドー』だと思う。(この映画も冷静に観ると虫けらのごとく人が、死ぬがそれをジョークにして異常にポジティブ)
ランボーの上司であるトラウトマン大佐の役割も弱くてほとんど何もせず傍観しているのも微妙。
せめてランボーの救出時に銃で威嚇してきた日和見サングラス野郎をやり込めるくらいの場面があるべき。(ちなみにランボー2の小説版だとトラウトマンもランボーを援護して活躍します。)
ソ連軍の悪役であるスティーブン・バーコフも悪くないが、特殊部隊(スペツナズ風)の指揮官としてのシャープさがないので、当時売り出し中だったエド・ハリス(のちの軍人役者で『アンダー・ファイヤ』の傭兵が印象的)やユルゲン・プロフノウ(Uボートの艦長)などが補佐などの相手役だったらと思う。
基地の司令官のマードック役のチャールズ・ネイピアの卑劣で小物感溢れる演技は、とても良かったが、悪役としては、前作の名優ブライアン・デネヒーと比べると損な役回りでもある。
ともかく名作と認定された第一作も良いが、のちのノンストップ・アクションに影響を与えた本作は、タカ派的愛国心とベトナム戦争肯定映画と捉えるより当時、似たような内容で量産された娯楽アクションの一つの作品として楽しむのが一番。
余談だが、この映画の公開当時にアジア圏で出回った海賊版ビデオは、ランボーが太平洋戦争時代で日本軍と戦う内容に改変されていたと、新聞記事で読んだが、確かにベトナム軍側の身なりなどは日本軍風に見える。(ヘリとかの近代兵器は明らかにヘンだが)
2021年4月現在にNetflixで配信されている一作目の「ランボー」が何故か「ランボー怒りの脱出」のタイトルになっているのに唖然としたが、Netflix JAPANの担当は最低限のチェックもして無いのかな。
日々を生きるだけ
ベトナム戦争で負けた借りをランボーに擦りつけるように、ベトナム兵だけでは済まないソ連兵も次いでにとばかりに、アメリカの鬱憤を晴らすが如くの暴挙。
前作は本気でオスカーでも狙っていたのかと思われるスタローンの失敗、本作は軌道修正とばかりにヒット路線でジェームズ・キャメロンを迎えての有りがちなアクション映画へと。
トラウトマン大佐が上司とランボーの間で板挟みの中、正しい方向に行動する頼もしい存在としての逞しさ。
哀しみがまた一つ増えてしまっただけ、ランボーの後ろ姿が切ない。
ランボー、故郷へ還る
シリーズ2作目。1985年の作品。
前作はアクション映画の形を取りながらベトナム戦争後遺症を描いたシリアスな作風であったが、ほとんどの人が思い浮かべるのは寧ろ本作からではないか。
額に赤いバンダナを巻き、マッチョな半裸で弓矢や機関銃を片手に、一人で戦場で大多数相手に、ド派手にバトル・アクション!
ランボーが“ランボー化”! 覚醒!
前作のラストで逮捕され、過酷な刑務所で重労働を強いられているランボーの元へ、トラウトマン大佐が訪ねてくる。
恩赦の代わりに、軍からある機密作戦。ベトナム戦争の行方不明の捕虜たちを探し、その証拠写真のみを撮るだけというもの。
ランボーは再び、ベトナムへ。
この作戦には、裏が。
ステレオタイプな軍の裏切り。
ステレオタイプな敵国の悪者。
一度は捕らえられ、拷問に遭いながらも、怒りの反撃に出る!
ストーリーは有って無いようなもの。と言うか、話だけ追い掛けていたら、非常に退屈。
後のスーパーヒットメイカー、ジェームズ・キャメロンが脚本に参加していながら…。
ランボーと現地の案内人女性、コーとの淡いロマンスも蛇足。
でも本作は、前作よりアクションが遥かにスーパースケールアップ!
序盤~中盤はまだウォーミングアップ。捕虜収容所に潜入し、救出。追っ手を振り切り、後一歩の所で軍の裏切りで捕まる。ここら辺はスリリングに。
そしていよいよ大見せ場の連続!
ランボーvsベトナム軍!
前作からのランボーの十八番、密林でのゲリラ戦!
弾薬を込めた弓矢で車や橋を爆破!
ド派手な銃撃戦!
ヘリで敵駐屯基地を破壊!
ヘリvsヘリによる一騎討ち!
ツッコミ所多々でリアリティーの欠片ナシ!
でもそれが、THE80年代コマンドー・アクション!
その最たる作品だろう。
アクション映画好きにはスカッと痛快で、前作より好きなのかもしれない。
でも自分としては、前作からのあまりの作風チェンジにいつ見ても戸惑ってしまう。
元々のコンセプトは、前作に感動したベトナム帰還兵たちが、是非捕虜たちの話を作って欲しいと懇願したとか。
確かに話にそれは置かれている。が…
話が進むにつれ、ただのドンパチド派手な戦場アクション映画に成り下がり。
前作での戦争で心に傷を負った者の悲しみは何処へやら…?
つまり、前作は代弁。俺たちの代わりに悲痛な声を訴えてくれ。
今回は、まだ捕らわれている捕虜たちは居る。まだ戦争は続いている。俺たちの代わりに闘ってくれ。
典型的なこの国の戦意高揚映画。
劇中でも語られていたが、戦場/地獄が故郷。
この漢はまたそこに戻って、孤高の闘いをするしかないのか。
そう思うと、悲しい性…。
これはもう80年代アメリカの国威掲揚映画!笑
ベトナム戦争で負け多額の負債を抱え、経済では日本に追い上げられ、米ソ冷戦で一触即発というにっちもさっちもいかなくなっていた85年当時のアメリカにとっては、マッチョなランボーが力で解決してくれるこんな映画はさぞ痛快であったと思う。「ベトナム軍が実はソ連と繋がっていた!」というトンデモ設定もドンパチと爆破で全部ねじふせてくれる感。すげえ。
それにしてもCGもなかった時代にこれだけのアクションをアナログでやったスタッフの根性よ。本当にお疲れ様です。
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