「絶望の中で最後の悪あがきをする男の哀れ」ラストタンゴ・イン・パリ ウチレオさんの映画レビュー(感想・評価)
絶望の中で最後の悪あがきをする男の哀れ
リバイバルでみた「波止場」や「欲望という名の電車」のマーロンブランドを名優だとずっと思っていた
この映画に出ている自体がスキャンダルそのもの
何故にこんなヨーロッパまででかせぎしなきゃならないと、公開当時思ってしまった
さすがにフランス映画、すかっと見終わるはずもなく
一筋縄ではいかない内容
妻が死んだことで、主人公のポールの生も終わってしまっている。生きる気力もないまま、たまたま出会ってしまった若い女ジャンヌと汚いアパートの一室で、現実逃避する。まだ人生経験も浅いジャンヌには、このうらぶれた中年男がミステリアスで、刺激的な男に見えてしまった。
ポールの本性は大人の男と呼ぶには程遠い、俗世にまみれた幼稚な中年に過ぎない
素性はもちろん名前すら明かさない状況が、妄想を膨らませ、想像力を刺激して当人をことのほか過大評価する。快楽だけを求めているならそれで充分だろうけれど、そんなことが長く続くわけがない。互いに仮面を着けて遊んでいるだけだから
その仮面が耐えられなくなって、男から去っていった「ナインハーフ」という映画もあった
ポールのつまらない人間性と中年男の哀れがラストに弾ける。女はいつでも現実的で、冷淡に変貌するのも知らないで…
この映画に出演したことでマリアシュナイダーの人生は変わってしまったといわれている。彼女の苦しみに同情しながらも、この映画が好きなのに変わりない
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