「名作の誉れ高いが」羅生門 よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
名作の誉れ高いが
黒澤明お得意の土砂降りの中に崩れ立つ羅生門から映画は始まる。撮影は先日来その作品を観る機会の多い宮川一夫。出演は黒澤組のメインである志村僑、三船敏郎と、「雨月物語」の京マチ子と森雅之。「雨月」での京の狂いっぷりには背筋も凍ったが、この作品ではその狂い方も4パターン出てくる趣向。
森と京の謎めいた夫婦が時代劇のじめじめした雰囲気なのに対して、志村と三船の芝居が現代的でからりとしている。わざとそうした演出なのか、それともどう頑張っても三船の豪放磊落な芝居はあれよりほかにないのだろうか。異質なものが同居している感じで、すわりの悪さを感じる。
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