「まさに今」羅生門 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
まさに今
黒澤明生誕110年のタイミングで、NHKが選んで放送するのが、これかと思って、改めて観た。
羅生門の舞台は、平安時代だ。
芥川龍之介の原作で、「羅生門」と「藪の中」を合わせたストーリーなのだが、どちらかというと「藪の中」がメインだ。
そして、背景は「飢饉」と「疫病」の広がる京の都。
しかし、度重なる気候変動による自然災害と、新型コロナウイルス肺炎のパンデミックを考えたら、まさに現代に通じる。
そして、自分の都合でウソを散りばめ、それを正当化しようとしたり、上辺で正義を振りかざしても、実は裏でインチキを厭わない政治家連中を毎日のように報道で目にするにつけ、今の僕達の生きる社会を皮肉っているようにも感じる。
日本の政治はまさに劣化の最中だが、コロナ禍が広がる世界のあちこちの国もそうなのかもしれない。
やれやれという感じだ。
黒澤明は、芥川龍之介の原作をもとに、人間とは所詮、このようなものなのだと言いたかったのかもしれない。
しかし、黒澤明は同時に、人間には良心が残されていて、希望を見出すストーリーも残している。
ハイテクで便利になったが、逆に人間の心が荒んでしまっているように感じることは少なくない。
名前を隠してネットで攻撃したり、言葉の意味も調べず勉強不足のままウソを厭わないバカな連中。
自らを省みるなんて考えることもない。
僕達は現代にあって、希望を見出すことは果たして出来るのだろうか。
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