劇場公開日 2008年11月29日

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「現在と何も変わらない〜〜」羅生門 星のナターシャさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0現在と何も変わらない〜〜

2019年9月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

「7人の侍」と並び、黒澤明監督の代表作。

あまりにも有名だけど
案外観たことのある人は少ないのでは?
芥川龍之介の「藪の中」と「羅生門」を組み合わせて
再構築した話です。

殺人事件が起きて捕まった犯人と
その場にいた被害者の妻と
被害者の霊魂の三人の言い分が食い違う。
それに加えて、事件の前後に3人を見た木こりもまた、
何やら事情が有る様子。

単純に事件を解決するだけなら
黒澤明が監督するまでも無く、
コナン君でも呼んでくれば済む話だけど

罪から逃れられなくとも
自分の名誉や何かの名誉は守りたい。
その複雑な一人一人の心理が話をより複雑にしてゆく。

京マチ子の変幻自在の演技を是非ご堪能あれ!
貞淑な奥方様から一瞬に娼婦のごとき妖艶な流し目、
蓮っ葉な下町女の様に見えて、
実は己の立場を計算しながらの狡猾な淑女に戻っている。
流石です。

で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては

舞台となった平安の末期かな?

度重なる天変地異による飢餓のために人々の心が荒廃し
生き延びる為なら
赤子からも衣服を剥ぎ取る様な時代〜〜

これって、現在と何にも変わってないじゃんか!

そんな時代に、せめて真実に誠実に生きることで
人としての矜持を保とうとする生き様が

海外で評価されたと、どなたかがブログに書かれてました。

「映画の中の話」だよね〜
なんてもう言っていられない現代に

自分はどこまで、人としていられるだろうか?
精神的にかなり怖い映画ですわ

@もう一度観るなら?
「また企画上映があったら観たいかも〜」

星のナターシャ