「みっともないおじさんだけれど…」欲望のあいまいな対象 雨音さんの映画レビュー(感想・評価)
みっともないおじさんだけれど…
おもしろい映画だった。
だらしなくてダメなおじさんだわ〜と思いつつ観ていたが、やっと激しいビンタを。やった!これで懲りるのね、と思いきや…ダメだった。
しかし懲りないところがこの映画のおもしろいところだった。マチューはラストでは、見方によっては、やっと本当の大人の男になったかのように思える。コンチータの方も然り。歪んだ形ではあるが彼を必要としているのだろう。(ちなみに女の悪女ぶりだけが責められるのも気の毒で、正妻としては考えてもらえない点で彼女に同情する。)
人の結びつきの理由には、周囲には簡単に理解できない要素がある。当人たちさえ良ければそれでいいのかな…。
と、思ったところで彼らは終わった。彼らの脳天気な生活とは別なところで、現実社会は厳しく揺れ動いていた。
お馬鹿な大人たちのお馬鹿な関係。どこまでもみっともないが、みっともなさをさらけだすというのは勇気がいること。彼はその点すごい。彼にしてみれば結果的には平穏無事な人生を送るより楽しかったのかもしれない、と個人的には思う。
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