「さすらいの素浪人、三十郎ここにあり!」用心棒 かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
さすらいの素浪人、三十郎ここにあり!
監督脚本、黒澤明。
【ストーリー】
横風の強いさびれた宿場町・馬目宿。
ふらりと一人の素浪人があらわれる。
男は三十郎と名乗り、まずは一杯の酒を飲む。
店にいた権という名の爺によると、名主の多左衛門と造り酒屋の徳右衛門が対立し、たがいに足下のヤクザたちの対立で、すっかり荒れ果ててしまったという、
宿場町はその名のとおり、生馬の目を抜くようなひどい有り様。
「酒代のかわりに、俺がこの町なんとかしてやる」
男は事もなげにそう言い、肩で風を切り通りへとくりだす。
三十郎主人公の一作めにして、三船敏郎の代表作。
黒澤作品でも最高の剣戟アクションが見られるシリーズ。
まあこの作品、三船敏郎の存在感がすごい。
目ヂカラ、彫りのふかい顔だちもさることながら、躍動感と動きのキレは、本当に魅入ってしまいます。
あのひねくれ者のマーロン・ブランドが敬愛した、野生の象徴かのごとき演技、いや生き様。
カッコいいとかそんなの通りこしてただただ生命力に圧倒されます。
三船敏郎、戦時中は特攻隊員の遺影を撮る仕事をしてたとか。
終戦になって職にあぶれ、東宝の撮影部の求人に応募するもその風貌が気にいられて黒澤作品に出演することに。
破格のエピソードですが、この時期の方々、本当にめちゃくちゃな世界を生きのびてきたんだなと。
殺陣用の模造刀でどうせ切れないんだからと、剣撃を受けてたってエピソードも破格。
殺陣の後に服を脱いだら体じゅうミミズ腫れだらけだったそうですよ。
三船敏郎の、人間力までフィルムに納めた黒澤屈指の魅力的なキャラクター、三十郎。
全人類、必見です。
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