「ベルは二度鳴ったかと思う。」郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942) あまおとさんの映画レビュー(感想・評価)
ベルは二度鳴ったかと思う。
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ルキノ・ビスコンティ監督/1942年/伊
古い映画だが、オールロケだったこともあり、見ているうちに気にならなくなった。
主人公たちは、犯罪を犯すが、背負いきれず悩む。その心理の推移が見もの。ジーノのほうが弱い。一見タフそうにみえて、繊細で脆い。女の方が肝が座っている。(腹をくくった女は強い)。しかし、ジーノの心が自分から離れることだけは耐えられない。
無視できないのがスペイン人。凛とした雰囲気と思慮深そうな顔つき。
彼は二度登場する。一度目。ジーノを一旦旅に連れ出す。二度目。まずい状況にあるジーノに再び旅に出るよう勧める。「郵便配達の二度…」は、実は暗にこの二度のことを指すのでは、と思う。一度目は『その状態はよくない、他に目を向けよう』と伝えた。二度目は、『まだ人生を仕切り直せるかもしれない、やってみなさい』と伝えた。しかし、精神的余裕を持たないジーノはそれを活かせなかった。この二度の呼びかけは、本来ジーノのこころから湧いてこなければいけない声の象徴と言えるかもしれない。
『二度』はまた、自動車事故が二度、にも掛かるかもしれない。
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