劇場公開日 2018年10月19日

  • 予告編を見る

「何度でも観賞したくなるSFホラーの個人的頂点」遊星からの物体X 7753さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0何度でも観賞したくなるSFホラーの個人的頂点

2019年2月17日
Androidアプリから投稿

怖い

興奮

個人的つい定期的に観賞したくなる映画No.1の今作。
SFホラーといえば一番の有名どころはエイリアンになるのだろうが、個人的には恐怖度とシナリオはこちらの方が僅かに勝っていると思う。
もちろんエイリアンは1も2も3も4も大好きだ。(5は正直微妙だがプロメテウス2だと思えば好きな部類に入る)

今作が何故こんなにも私の心を掴むのかと言えばやはり主役であるモンスターのデザインが控え目に言って最高だからであろう。
正体不明の宇宙生命体、グロテスクな造形、他の生物に成り済ます能力、体液に触れただけでアウトな緊張感。
もう結婚したいレベルである。

しかし、モンスターデザインだけがよくても面白い作品になるとは限らない。
それを活かす舞台装置が必要なのだ。
今作はそれを南極基地という世界から隔離されたような場所と、そこで働く隊員達を舞台装置に選んだ。
そしてこれが見事にモンスターの恵まれたデザインと一致し、このSFホラー映画の傑作を生み出すことに成功した。

逃げ場のない、言わばクローズドサークルのような状況に次々と犠牲になっていく仲間達。
そして誰が味方か敵か分からない疑心暗鬼の恐怖。
こういった閉鎖された空間での恐怖というのはエイリアン然り、最近個人的に面白かったライフなどのSFホラーと本当に相性が良い。
いや、というかホラーというジャンル自体と相性が良い。

このようにSFホラーという点ではまるで欠点の見当たらない今作だが、今作が私の中で最高と呼べるSFホラー映画と自信を持って言えるのはやはりあのシーンがあるからであろう。
恐らく今作を観賞済みの方でどのシーンが一番好きかと問われればほとんどの方が私と一緒のシーンを上げるのではないだろうか。
そう、人に成り済ましたモンスターをあぶり出すための方法を実行するシーンである。
これは今作の前日譚であるファースト・コンタクトやパラサイトなどにもあるが、やはり今作のあの緊張感が一番好きだ。
初見の時などは手に汗握って誰がモンスターなのかを見守ったものである。

ここまで長々と絶賛のレビューをしてきたが、正直なところ今作は人を選ぶ作品であることは間違いない。
グロテスクな内容がダメならば見るべきではないだろうし、ストーリーも恋愛や友情、家族愛などといった万人受けする要素は微塵もない。というかぶっちゃけストーリー自体があってないようなものだ。
あるのは未知のモンスターにより恐怖のドン底に落とされる哀れな人間達の物語だけである。
しかしただ純粋に恐怖という面白さを求めるのならば決して観賞した後に後悔することがないのは保証しよう。

7753