「女に愛されてばかりいる男には尻尾が生えてくる。」モンパルナスの灯 はるさんの映画レビュー(感想・評価)
女に愛されてばかりいる男には尻尾が生えてくる。
とにかく何が何でも惚れた女を描くことに無常の喜びを感じる。それがモジリアニ。描き続けている間は仕合せなんだ。世間の評価など眼中にない。ひたすら惚れた女の絵をキャンバスにぶつけ続ける。しかし、哀しいかな高揚した恋の炎は萎んでゆき、女の愛は世間に認められぬ彼の境遇を哀しみ彼を守ろうとする。男はそんな状況を受け入れられるはずもない。同情、憐れみは劣等感の坩堝へ追い込みをかける鞭となってしまう。
モンパルナスの酒場で自分の絵を客に売り込む姿は惚れた女へ男として対面を保つ唯一の方法だったのだろう。余りにも哀れである。
画家の伝記映画はいつもこんなものだ。芸術家は一人では決して生きてはいけない。
絵画家の才能を見抜く力を持つ人間に振るシッポを持つか、惚れた女を描くことの幸せを選ぶか・・はたまた死を選ぶしかなくなってしまう。
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