「Dr.アカヒゲ小石川養生所」赤ひげ 活動写真愛好家さんの映画レビュー(感想・評価)
Dr.アカヒゲ小石川養生所
黒澤明監督の情熱がヒューマニズムという形で画面いっぱいに炸裂した名作だと思います‼️まず東宝のマークが現れると同時に流れ出す佐藤勝さん作曲の素晴らしいテーマ曲‼️もう金縛りにあって動けません‼️加山雄三さん扮する保本が養生所に赴任、同僚との会話で江戸の医療の実態と養生所の内情を観客に完璧に把握させる話術の妙‼️重厚な六助(藤原釜足さん)の臨終シーン‼️窓を開けると雪が溶けており、それが保本の心の雪解けを表すスゴい演出‼️山崎努さんと桑野みゆきさんが初めて出会う雪のシーンの美しさ‼️岡場所で赤ひげが、一瞬の間に十数人の用心棒を叩き伏せる立ち回り‼️杉村春子さんへの大根攻撃‼️おとよたちが井戸の底に向かって長坊の名を叫ぶシーン‼️黒澤明監督の演出も完璧だし、「用心棒」の宿場町のセットと並ぶ養生所や江戸の町並みのセットも完璧で、赤ひげ役三船さんの演技も素晴らしい‼️なんか民衆の息づかいが聞こえてくるような江戸時代の雰囲気が出ているし、黒澤監督もデビュー作「姿三四郎」から前作「天国と地獄」までで見せた作風の集大成のような素晴らしい名作だと思います‼️でもこの作品以降、黒澤作品は変わってしまいました。三船さんが出ない、カラーへ、そして海外進出。ラストの赤ひげのセリフ・・・"お前は後悔するぞ "・・・これは三船さんを起用しなくなった黒澤監督へか、または黒澤作品へ出演しなくなった(三船プロの経営で忙しかった?)三船さんへか、はたまた製作費がかかり過ぎる黒澤作品製作を渋るようになった日本の映画製作会社へか?そんな気がしてなりません。とにかく日本映画史、いや世界映画史において "赤ひげ以前、以後"という言葉は確実に存在する・・・