赤毛のアン(1986)のレビュー・感想・評価
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オールドボーイ・ミーツ・ガール
赤毛のアンは孤児で、本を読むのが好きで、持ち前の想像力を駆使して、辛い毎日をトリップして乗り切っている。そんなアンが、手違いで年配の兄妹のもとへやってくる。
こどもの頃に原作を読み、当然アンに感情移入するのだが、年をとった今は、マシューとマリラに共感してしまう。仕事に役立つ男の子を引き取ろうと、時間をかけて検討して決定したのに、まさかのハプニング。でも、生命力あふれる女の子に、決定を覆されてしまった。この老境に差し掛かる人間の心を、こんなにも大きく動かすもの、それはまさに慈愛。守られるべき子供を、大人が守る。温かい寝床と食事を与える。教育する。そして、見返りを求めない。
内気で女性と会話もできないマシューが、アンには心を開くことができる。惜しみなく愛を注げる。それは、彼の人生にどれだけの色を与えただろう。そして、アンもマシューへ、信頼と愛を返すのだ。愛情は、欲するだけでも、与えるだけでもなく、交感するものなのだ。「赤毛のアン」が時代を経ても人の心を打つのは、愛情というものをしっかり描いているからだと思う。
NHK BSの放送を録画で。
綺麗な風景と心温まるストーリー
久々の再鑑賞
大好きな映画でもありますし、原作をきちんと読む機会を与えてくれた作品でもあります。
映画を先に観たせいかもしれませんが、原作をそのまま映像にしたかのような作品だと思いました。
登場人物はほぼ皆イメージ通りですが、特にアン・シャーリーを演じたミーガン・フォローズははまり役でしたよね。
空想好きで意地っ張りで、大きな失敗もするけれど、でも真っ直ぐで優しいアンが、様々な人々と出逢い少しずつ大人になって様子を見事に演じていたと思います。
グリーンゲイブルスの雄大な自然や当時の人々のファッションも魅力的ですし、名作と呼んでも過言ではないと思います。
ただ残念なのは、今から30年以上前の作品であるため画像が少し粗くなってしまっている点でしょうか。
デジタルリマスター版を是非出して欲しいです。
アンの魅力がそのまま
総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 75
ビジュアル: 75
音楽: 75
のどかな風景、ちょっと古めかしい田舎の慣習と癖のある人々、そして空想好きでやたらと喋る、不幸に負けない赤毛の元孤児アン。そんなみんなの期待する赤毛のアンの姿がそのまま表現されている。オーディションで多数の中から選ばれたアン役のミーガン・フォローズの演技がまさにアンにはまり役。ただもっと本格的な赤毛でも良かったかなと思う。ちょっと厳格なマリアや優しいマシューもそのままの役柄で登場。
そして物語の中でアンは成長していくし、それをうまく描いていく。会話をするたびにとにかくいちいち文学的表現を使いながら応対するようなおしゃべりなアンの性格が魅力的。そしてだんだんとゲーブルズになくてはならない存在になっていくし、またアンも猛勉強して一人の人間としての道をしっかりと歩み始める。大人として自立していく彼女の今後が気になる。
気に入らないのはマシューの死があまりにあっさりと描かれていること。重要人物だしもう少し劇的に詳しく描いてくれてもいいのではないかと思う。
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