「【1980年代のフィンランドの経済成長から取り残された人達が生きる姿を、優しき視点で描いた作品。アキ・カウリスマキ監督の社会的弱者を温かい視点で描くスタイルは、今作でも継承されているのである。】」真夜中の虹 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【1980年代のフィンランドの経済成長から取り残された人達が生きる姿を、優しき視点で描いた作品。アキ・カウリスマキ監督の社会的弱者を温かい視点で描くスタイルは、今作でも継承されているのである。】
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ー アキ・カウリスマキ監督の初期の”労働者3部作”「パラダイスの夕暮れ」に続く第二作。(第三作は「マッチ工場の少女」)-
■炭鉱の閉山で失業したカスリネンは、同じく炭坑で働いていた自殺した父のキャデラックに乗り、南を目指して旅をする。
しかし、旅の途中、強盗に全財産を奪われてしまい途方に暮れる。
そんな中、出会った女性イルメリとその息子と交流するうち、愛情を抱くようになり、フィンランドでの生活に見切りを付け新天地を目指して、密出国する。
◆感想
■”労働者3部作”を始めとしたアキ・カウリスマキ監督作品あるある。
・主人公の男性や女性及び周囲の人達は、フィンランド経済発展から取り残された貧困層である。
・ワンカットが非常に短い。
・台詞がシンプル。余計な事は喋らない。
・今作や、後年の「過去のない男」で描かれているように、主人公の男は暴漢から頭を殴られ、昏倒するシーンが多い。
・残虐なシーンは、殆ど描かれない。(今作でも、父のピストルでの自殺は音だけである。)
・主人公の男性や女性は、ほぼ無表情に見えるが、偶に微かに唇の端が上がったりする。
・イロイロ有っても、ラストはどこか貧しき主人公たちの希望を抱かせる終わり方が多い。そして、そこで流れる音楽が絶妙にマッチしている。
<とまあ、イロイロと書いて来たが今作は、ハードボイルドタッチでありながら、カスリネンとイルメリとその息子が希望の地であるはずの、メキシコに密出国するシーンで終わる。
アキ・カウリスマキ監督の社会的弱者を温かい視点で描くスタイルは、今作でも継承されているのである。>
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