「夫を失った女性の喪失と回復の物語。石川県輪島市を舞台にした、是枝裕...」幻の光 Jellyfishさんの映画レビュー(感想・評価)
夫を失った女性の喪失と回復の物語。石川県輪島市を舞台にした、是枝裕...
夫を失った女性の喪失と回復の物語。石川県輪島市を舞台にした、是枝裕和 監督長編デビュー作のリバイバル上映。
上映前に本作プロデューサー 合津直枝 氏より簡単な挨拶あり。収益は全て輪島市に寄付されるとのこと。
宮本輝 の原作未読、映画も初観賞。
とにかく、ロケと撮影と衣装と音響がみな素晴らしい。水田や海の写り込みを意識した構図とカメラワーク。切り立つ海岸と単線二両編成の列車の風景。屋内に差し込む光の中で描かれる、輪島の漁村の日常。雪舞う中の葬列。『怪物』のトンネルのシーンは本作へのセルフ・オマージュだったのか。
黒基調のモノトーンでミニマルでユニセックスな衣装と、能登の漁村や輪島朝市との意外なほどのマッチング。客観に徹し、人物のアップを極力排した引き中心の映像が衣装をより際立たせる。
輪島に移る前の街の風景も実に良くて、設定は阪神間のどこかのようなのだが、パンフ記載のプロダクション・ノートによると実際のロケ地は東日暮里周辺らしい。高架を走る電車が阪神にも阪急にも見えないのはご愛嬌。
風景の一部となって全く悪目立ちしない、江角マキコ をはじめとする俳優陣の演技も良い。
もう絵だけで見ていられると言う点で、個人的今年上半期ベスト10に入れた『霧の淵』を想起。どちらも、劇場の大きなスクリーンで見ないとダメな作品と思う。
1995年公開当時の完全復刻版というパンフレット (¥1,000) には、大きく「CINE AMUSE」との記載あり。当時のミニシアターが製作していたパンフレットということか。
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