「"I've lost my youth."」まぼろし talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
"I've lost my youth."
自分が自分であるというのはどういうことなんだろう?自分一人でそれは決まらない。かといって、誰と誰を加えたら自分が決まるんだろう?一番近いのは配偶者か?でも自分の配偶者が何をどう思っているか、彼らは彼らの自分を確定するために私を必要としているのかわからない。
確実に死に向かっている。若者だって同じように死に向かっている。でも彼らは違う。死なんて知らないかのように生きている。ライフセーバーの若い男たちも、大学の階段教室に座っている学生達も、海岸に居た全裸のカップルも。
私は泳げるしジムにも通っているしスマートだ。もちろん目元に隈があることも皺があることも知っている。授業をするのも若い学生と話すのも好きだ。ジムに行きたがらない大柄で太っている夫より若いと思う。その夫の重さを私の細い体は25年前から知っている。そうやって私は私であったのに、目の前から夫が消えた。
シャーロット・ランプリングは「愛の嵐」から変わらない。少女のような少年のような体型、肩甲骨も脚も目もまなざしも。ヴァージニア・ウルフの「波」とシンクロしているこの映画、彼女が主役だからこそだと思った。
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