赤い河のレビュー・感想・評価
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頑固親父は息子や周囲と折り合うのは難しい
3月28日(金)
諸般の事情により、本日の「教皇選挙」は見送り。NHK-BSでハワード・ホークス監督の西部劇「赤い河」を。
1865年、ダンソン(ジョン・ウェイン)は1万頭の牛を擁する牧場主になっていた。
14年前に幌馬車隊から離れてこの地にたどり着いた時は相棒のグルート(ウォルター・ブレナン)とコマンチ族に襲われて生き残った少年マシューと3頭の牛だけだったのだ。
マシュー(モンゴメリー・クリフト)は南北戦争を戦ってたくましい青年になって帰ってきた。
南北戦争は終わったが、牛が売れなくなったため、ダンソンは1600キロ離れたミズーリまで牛を運んで市場で売却しょうとする。
1万頭の牛を1600キロ移動させるのは大変で100日かかる道中でさまざまな困難が生じる。目的地をミズーリから鉄道が通ったというカンザスのアビリーンに変更しようとする案に、頑固なダンソンは耳を貸さない。既に60日以上の旅で疲労困憊の牧童たちはダンソンに反発し始め逃げ出す者も出始める。
ある時スタンピード(牛の暴走)が発生し牧童の一人ダンが死んでしまう。スタンピードを起こす原因を作った男をダンソンは縛り首にしようとする。
さすがに縛り首はやり過ぎだとマシューは親子同然のダンソンを撃ち、皆を率いてアビリーンへ牛を運ぶ。
何百頭かを失ったがなんとかアビリーンへ到着して、牛は思ったより高く1頭20ドルで売れる。
その時、負傷したダンソンは追手を組織して、マシューを殺そうとアビリーンへやって来る。対峙した二人は殴り合うのだが…。
約1万頭いたかどうかはともかく、CG合成ではなく本物の牛が何百頭もいるのは凄い。
スタンピードなんて今だったら絶対CGだろう。
殴り会ってわだかまりが解け和解するのは西部劇の常道だが、そこにマシューに惚れた女テスと、ダンソンが14年前にコマンチ族に襲われて死んだ自分に惚れていた女を重ね合わせて話を繋いでいる。
老けた頑固者のジョン・ウェインと義理の息子の立場のモンゴメリー・クリフト、そしていい味を出すウォルター・ブレナン。
ジョン・ウェインとウォルター・ブレナンの関係は同じハワード・ホークス監督の「リオ・ブラボー」でも見られる。
音楽はディミトリ・ティオムキンで後の「リオ・ブラボー」で使われた「ライフルと愛馬」のメロディか使われている。
当時、新人だったモンゴメリー・クリフトはこの映画で人気が出たらしいが、堂々とジョン・ウェインと渡りあって、しかも格好良いのだからそれも納得できる。
おまけ
ジョン・ウェインは、この映画の後の西部劇では、その殆どの作品でダンソン牧場の焼印のバックルのベルトを着用している。
家父長制の恐怖
逆らう者を許さない絶対的権力者の頑固親父は、群れの全権を息子に奪われ、息子を殺しに群れを追ってくるという恐怖映画。
ギリシャ神話と聖書の話が下敷きだろうか。
にしてはマグダラのマリアがどっちつかず、わざとらしい出現で消化不良。
全体として悪くはない映画だと思います。
アクションシーンのBGMはうるさい。そこはさすがに古臭い。
約1万頭の牛を売却するため、1600㌔移動させるのがメインの映画
1.約1万頭の牛をテキサス州からミズーリ州まで、約1600㌔歩かせて売りに行く、
と言う発想が凄い
2.途中トラブルが発生、
①ミズーリに行くまでには、牛泥棒の襲撃が予想される
②鉄道開通の情報=ミズーリまで行かなくても良いかも?
③ダンソンの判断=「脱走者に絞首刑」が重過ぎて納得できない、等
3.マシュー(ダンソンに小さい時から育てられ、ダンソンの養子みたいな男)
が目的地をミズーリから(テキサス州)アビリーンへ変更の提案
雇人達がそれに賛成し、ダンソンから牛1万頭を奪い、
アビリーンへ行き、全頭売却
4.売却額は、ダンソンの予想価格:1頭15ドルより高い、1頭20ドル
5.契約成立後、追いかけて来たダンソンが到着し、マシューと乱闘
6.テスは、ダンソンから「元々、マシューに財産を渡す予定だった」
等の話を聞いていたので、発砲して2人の乱闘を制止
7.ダンソンとマシューが仲直り
ダンソンは、マシューに「テスを嫁に貰え」と提案、
マシューは了解
8.笑う所は少ないが、ハッピーエンドで良かった
内容は面白いが、結末には不満
総合65点 ( ストーリー:65点|キャスト:70点|演出:60点|ビジュアル:65点|音楽:70点 )
西部テキサスの地を開拓し、原住民や先住民と戦い戦争をくぐりぬけ牧場を経営してきた男が、一万頭近い牛を高値で売るためにミズーリまで長い牛追いの旅に出る。
なかなかに面白い内容だった。主人公が一方的な凄腕でもなく英雄でもなく、忍耐強く有能だけど頑固で人の管理が下手というのも話に奥深さを持たせていた。旅が上手くいかないからといって彼が酒びたりになって強硬な発言と行動を繰り返し、仲間に見捨てられる展開があるとは思わなかった。
だがいい話なのだが演出が古く、何かと迫力がなかったり重要な部分があっさりと飛ばされていたりする。彼が経験した開拓の大変さや牧場での生活は全く出てこない。牛追いの旅も辛さと寂しさに耐え不安におののく臨場感が欲しい。現在の演出で再映画化すればかなり良い作品になりそう。
そして最後の結末はかなり駄目。仲間内で人も死んでいるほどの深刻な事態を招いているし、喧嘩の直前にも止めようとしたものを1人撃ち殺しておいて、やっぱり好きなもの同士で殺せない、あっはっはっでお終いはないだろう。今までの深刻な対立と苦闘はどうしたのかと呆気にとられた。死者は無駄死。
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