赤い河のレビュー・感想・評価
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スケール感が魅力
壮大な西部を舞台に展開する、濃密な人間ドラマ
1万頭にも及ぶロングドライブがホークスの独特な陰翳の映像美で綴られる滋味豊かな西部劇。独善的で非情な独り身男ダンソンと養子のマシユウが対立しながら障壁を乗り越え、真の親子になる道のりでもある。当時の銃社会の荒くれカウボーイの無慈悲な実態も描かれていて、けして気安く鑑賞できる作品ではないが、カウボーイたちの火花を散らす会話劇としての面白さがある。台詞が生きている。唯一の不満は、ダンソンがミレーに招かれ会話する場面の説明過多。ラストの決着を予想させてしまうのが惜しい。
それでも、ジョン・ウェインの心と体が一致しない男の切なさが魅せるし、モンゴメリー・クリフトの「山河遥かなり」から飛躍した演技に彼だけの魅力がある。ウォルター・ブレナンの存在感が二人を支えるドラマの厚みと最後に登場する商社経営者のハリー・ケリー、映画好きには堪らない。
名作!最高の西部劇のひとつ
赤い河とはテキサス州に実際に流れる川
赤土が混ざり文字通り赤い泥水が流れている
もうひとつ1万頭の牛の群れも意味しているのだ
牛の大群が流れる様に大平原を進むさまは正に赤い肉の河だ
1万頭もの牛をテキサス州リオグランデ辺りからミズーリ州多分セントルイスまで1600キロを走破を目指す物語だ
途中そのほぼ三分の二を進んだ辺りのレッドリバーを北に渡った頃、ある事件が起こり目的地が変わる
それでも新たな目的地カンザス州アビリーンでも全行程1000キロ
これを数人のカーボーイだけでやり抜かねばならないのだ
途中インディアンの襲撃にも怯えながらだ
意気揚々と出発する際のヒーハー!の掛け声はこれこそカウボーイの姿
カメラが雄大な西部の大平原を進む牛の大群を見事に捉えている
その牛の大群が大暴走するシーンは圧巻!
CGでは決して出せない本物の映像の力だ
そして困難な一大プロジェクトに挑むリーダーの孤独、さらには世代交代の物語でもあった
これにより単なるアクション映画の西部劇ではなく深みのある人間ドラマになった
流石はハワード・ホークス監督だ
全くまどろむことなく見応えある物語を展開してくれる
ラストシーンのカタルシスは素晴らしい
困難な仕事を自分に代わり達成してみせた若者に、世代交代を認めた瞬間のジョン・ウエインの晴れ晴れとした嬉しそうな顔の輝きこそが、本作のテーマが完結したシーンだ
最高の西部劇のひとつだ
名作として語り継がれるだけある
ブラック経営のロングドライブ。歴史的資料価値あり
ロングドライブの映画って案外少ない。ロングドライブと言えば、テレビドラマのローハイド。
ローハイドは、ホワイト経営。人望のある隊長、能力高く士気の高い隊員、そして牛までもお行儀がよい。
こっちのロングドライブは、ブラック、パワハラ。人望のない暴力の隊長。暴走する牛。
どっちが真実のロングドライブなんだろうか?
どっちが真実のロングドライブなのかはわからないが、ロングドライブの歴史の勉強になる作品。歴史的資料としての価値がある。
細かいが気になることがある。この作品でも、ローハイドでも、主食は牛肉(屠殺しながら食べていく)わけだが、もう一つ、粉もの(小麦ないしコーン)が重要な扱いになっている。アメリカ人って牛肉だけ食べてれば満足なんじゃないんだね、やっぱり人間って、炭水化物が好きなんだね、って。人間の食欲のサガみたいなものを実感する。
牛の暴走のシーンは圧巻。どうやって撮影したんだろう。
ブラックなジョンウエインが思いっきりいけてる。
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