ペリカン文書のレビュー・感想・評価
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【ペリカンの安息地である湿原破壊に端を発した、大統領再選を目指す男に忖度した政府高官、FBI、CIAの姿を描く。ジュリア・ロバーツ、デンゼル・ワシントン共演による社会派サスペンスの逸品。】
■一夜にして2人の湿原破壊に反対する立場を取っていた最高裁判事、ローゼンバーグ、ジェンセンが殺害された。
法学生のダービー(ジュリア・ロバーツ)はこの事件について自分なりの仮説を立てて論文をまとめる。
だが、事件の核心を突いたこの文書は「ペリカン文書」と名を変え、瞬く間にホワイトハウスに棲む魑魅魍魎達を震撼させる大きな爆弾と化していく。
そして、彼女を陰ながら支えるグランサム記者を演じたデンゼル・ワシントンの沈着冷静に状況を判断し、行動する姿が沁みるのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・この映画の名のみ知ってはいたが、ここまで複雑な(というか登場人物多数過ぎて、得意であるはずの脳内相関関係図作りが追い付かない・・。)構成とは思わなかった。
ー 最初は、脚本が悪いんじゃないの!と思いつつ、必死になって物語を追って行くと、これが又、面白いのですね。-
・法学生のダービーを演じたジュリア・ロバーツが、仮定を基に大学の図書館で書き上げた文書が、的を得ていて、あたふたする大統領の側近、コールやFBI関係者が、ペリカンの安息地である湿原破壊に対し訴訟を起こしていた男を過去に暗殺し、湿原破壊をして工場を建てる事で巨万の富を得ようとするマティースと現大統領で、次期もその座を狙う男の姿なども”正に大統領の陰謀”である。
ー が、今作では大統領自らが証拠抹消の指示を”直接的に出さない”ところが恐ろしいのである。-
・ダービーの恋人で教授でもあるトーマス・キャラハン(サム・シェパード)が車に仕掛けられた爆発物で、爆死するシーンと、最後半グランサム記者とダービーが車に仕掛けられた爆弾を”ナカナカ掛からないエンジン音”で異常を察し危機一髪で逃げ出すシーンなどハラハラドキドキである。
<今作のラストは爽快である。全てを暴いたグランサム記者がTVの取材を受けながら、インタビュアーから”ダービーは複数の創造の産物ではないですか。大統領の陰謀の様に。”と問いかけれれるも、ニヤリと笑って”そうかもね。”と答える姿をFBI長官ウェイクフィールドの自家用ジェットで某国に脱出したダービーが嬉しそうにTVで見る姿。
これは、私の勝手な推測であるが、ダービーが脱出した場所は或る弁護士が命を懸けて守ったルイジアナ州の”ペリカンの生息地ではなかったかな”と、思った作品でもある。>
判事暗殺事件
敏腕記者だから独自調査で真実を暴くのかと思ったらネタの方から飛び込んでくる棚ボタだから凄さは無いのだけれど演じているのがデンゼル・ワシントンだから別格、殺し屋に狙われても彼ならと安心して観ていられるから不思議です、原作では白人でしたが彼で正解でしょう。ラストも映画の方が自然、恋人を殺されたばかりでいちゃつくのも何ですものね。
ジュリア・ロバーツ扮するダービーはペリカンの住む湿原の環境保護裁判に事件の鍵があると着目、後の「エリン・ブロコビッチ」にも通じる役どころに感じました。
ただ、都合が良すぎる話でもありますね。次々と関係者は殺されるのに間一髪助かることが多すぎる、爆弾が仕掛けられた車のエンジンンをかけたのは完全にアウトでしょう、別に爆弾から音が出る訳ではないのだからジュリア・ロバーツが気付くのも不自然。CIAも殺し屋をマークしていたなら他の刺客も何とかしてほしかった、女性の殺し屋登場は思わせぶり。観終わって振り返れば疑問は湧くが観ている最中は展開が読めずサスペンス感もあり十分堪能しました。
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