「実に分かりやすい「リンチ的な映画」」ブルーベルベット 駒井尚文(映画.com編集長)さんの映画レビュー(感想・評価)
実に分かりやすい「リンチ的な映画」
以下、自分の映画評論から抜粋です。2020年9月、久しぶりに本編を見て驚いたことには、「ツイン・ピークス」の原型が、まんまここにありました。舞台はアメリカのスモールタウン。しかも林業の町で、材木を積んだトラックが頻繁に登場します。街にはダークサイドがあって、怪しい男たちが非合法ビジネスを営んでいる。「草むらの耳」に相当するのは「打ち上げられたローラ・パーマーの死体」。どちらの案件も、捜査するのはカイル・マクラクラン。
デビッド・リンチの作るフィルムノワールは、ダークサイドとブライトサイドのギャップの激しさが特徴です。オンライン辞書に「Lynchian(リンチ的)」なる単語があって、その意味は「不気味さと平凡さのバランスがとれていること」だそうです。
その観点からすれば、「ブルーベルベット」は、実に分かりやすい「リンチ的な映画」だと言えます。
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