「抜群のカメラワークとリアリズム」フルメタル・ジャケット Don-chan(Daisuke.Y)さんの映画レビュー(感想・評価)
抜群のカメラワークとリアリズム
イーストロンドンにヤシの木を植えてベトナムの戦場を再現。CGもほぼ使わず実際に爆発させたり燃やしたり、一台のヘリコプターを何度も行き来させて複数あるように見せている。
出演者が自分で考えて言動をしているアドリブシーンもある(レナードとジョーカーの二人のシーンはほとんどがそうである)。ちなみにレナードは今作の撮影のために人一倍食べてあの体になる努力をし撮影中に怪我もした。
教官ハートマン軍曹の汚い言葉と暴力が印象に残る。ハートマン軍曹役のR・リー・アーメイは新人訓練生の教官経験者で、軍人未経験の俳優たちに実際に教育し、出演者たちは見事に軍人のように行進したり礼式を覚えたり銃をばらして組み立てられる程になっている。
カメラワークは完璧主義者であるスタンリー・キューブリック監督の拘りで、構図やアングルを重視している。
BGMはほとんど無く、演技の違和感もないため作りモノとは思えないリアルさがある。
3部構成になっている。
最初の訓練が1部で、2部の始まりは軍人たちの前に娼婦が腰を振り振りしながら現れるあたり、3部はバイクに乗ってノーブラの娼婦が登場するあたりから始まる。
主人公を美化するような戦争映画ではない。
徹底的なリアリズムで正義がどうとか誰が悪とかではなく、ひたすら敵を殺すという狂気の世界を描いている。
ベトナム戦争に限らず、過去現在未来どの戦争にも共通している何かを考えされられる。
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