「青年は人間性を放棄する事が出来るか?」フルメタル・ジャケット ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
青年は人間性を放棄する事が出来るか?
シャイニングに続いてキューブリック作品を鑑賞。
前半の訓練学校シーンは今見ても衝撃的。
リー・アーメイ演じるハートマン軍曹のシゴキが執拗に続く。
演技も歌もFワード連発のセリフも、一度見たら忘れられないだろう。
このシゴキに耐えた者こそ殺人兵器として戦場に赴くことになるのだ。
だがレナードはそのシゴキに耐えられず葛藤し心は限界を迎える。
後半はベトナム戦争にしては珍しい市街戦を従軍カメラマンのレンズ越しに描く。
そこで描かれるのは訓練学校を卒業後兵器と化し、殺すことに何のためらいも覚えなくなった兵士達だ。
頭をバリカンで刈るオープニングから戦場を歌いながら行軍するクライマックスまで、あくまでたんたんと描かれる。
戦場では個人の意思も夢も全てジョークに見えてくる。
でなければ人を殺す事など出来るはずがない。
唯一人間性を放棄できなかったレナード、実は彼こそが本当の人間だったのかもしれない。
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