劇場公開日 1987年3月

「世界最高の罵詈雑言」フルメタル・ジャケット オレさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0世界最高の罵詈雑言

2018年4月30日
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鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

ベトナム戦争の時代を舞台に、ハートマン軍曹の鬼のしごきに耐えながら成長して行くアメリカ海兵隊の訓練生とその後の彼らのベトナムでの活躍を描いた洋画史上最高の翻訳センスが発揮された戦争映画。

戦争映画は苦手だが今作だけは別格だ。
前半のインパクトが強すぎて後半のベトナム戦争シーンが薄まってしまうからだ笑。
前後半が明確に分かれている作品は多いが、今作のように極端に前後半で内容が分かれている作品も珍しいと思う。
その理由が何を隠そう、故Rリーアーメイが演じる海兵隊訓練キャンプの鬼教官、ハートマン軍曹の多彩なボキャブラリーを用いた世界最高の罵詈雑言の嵐であることは言うまでもない。
ここで輝かしい彼の罵声のランキングTOP3を紹介したい。

No.3
冒頭から罵声を飛ばしまくるハートマン軍曹に対して思わすひとりごちたジョーカーに向かっての脅し文句
「頭が死ぬほどファックするまでシゴいてやる!ケツの穴でミルクを飲むようになるまでシゴき倒す!」

No.2
ハートマン軍曹の罵声に刃向かうジョーカーの度胸を買った際の一言
「気に入った!家に来て妹をファックしていいぞ!」

No.1
いつまで経っても成長の見られない微笑みデブことレナードに向かっての訓練中の一言
「セイウチのケツにド頭突っ込んでおっ死ね!」

正直No. 1がパワーワードすぎて無理やり作ったランキングではあるが、過去未来どちらの面から見てもこれは超えられないのではないかと思うほど素晴らしきワードチョイスと翻訳センスが組み合わさっている。

そのハートマン軍曹の罵詈雑言を余すことなく浴びせられるレナードこと微笑みデブを演じるヴィンセントドノフリオの怪演も見ものだ。
顔の筋肉が緩み切った常時笑っているような顔、靴紐も結べない無能っぷり、こいつの罰は貴様ら全員の連帯責任だと軍曹に言わしめ
皆が腕立てをさせられる中直立不動でドーナツを食らう面の厚さなどなど。
いじめられっ子要素満載のレナードが壮絶なハートマン軍曹のしごきと同期からのイジメに耐え抜き、主席の成績で卒業するまでの様子は感涙ものだ。もちろんウソだ笑。
前半のクライマックスにあたるトイレでのシーンはまさに壮絶。キューブリック特有の上向き過ぎて白目になりかける表情のままハートマン軍曹を銃殺し、自殺するレナードはまさに気が触れてるかのようであった。

正直初回は前半だけの映画で後半はいらないと思ってたけど2回目以降は意外と後半も面白いなぁと思った。ただやっぱり前半の衝撃と印象が強すぎる映画ではある笑。
リバイバルの機会に恵まれて映画館で鑑賞したが、前半の件で笑い死にそうなるし周りは静かだしで完全に笑ってはいけないアレだった笑。

2014年11月19日(水)1回目
2018年02月17日(土)2回目@池袋新文芸坐

オレ