「心を射抜く作品」フィールド・オブ・ドリームス R41さんの映画レビュー(感想・評価)
心を射抜く作品
日本人にも突き刺さる感動を持った作品
日本での公開当時もこの話題が席巻したのを憶えている。
「If you build it,he will come」
レイに聞こえてきた謎の言葉
さて、
この物語は奇跡の物語として描かれているものの、謎の声の主は、レイ自身だったのではないかなと、今になって思うことがある。
誰にでもある心の声
その真の声こそ本心であり、同時にそれこそが神が求めていること。
これは「ドッグマン」でリュックベッソン監督が示した真理
何を作ればいいのかわからなかったレイだったが、やがてそれが野球場だと気づく。
妻を何とか説得し、近所からは頭がおかしくなったと言われながらも、彼は憑りつかれたように野球場を作った。
やがて、トウモロコシ畑の中から在りし日のベースボールプレーヤーたちが現れ、野球を始める。
このことが近所でも噂になってもう一度プレーしたかった彼らの夢を叶えていく。
レイがそうであったように、往年のベースボールスターたちにも心残りがあった。
彼らの夢を叶える場所
しかし、手製の観戦スタンドから落下した子供
この場所で野球ができる条件
引退後に医者になったアーチ-
彼は、現役時代にたった1イニングだけしかできなかった野球をこの場所で存分に楽しみ、子供のためにフェアフィールドの外へと出る。
一瞬で老人の医者となった彼は、子供の診察をした。
ブラックソックス事件で追放された選手たち
彼ら一人一人を思い出すように懐かしく野球を見るレイたち
しかし、
マスクをかぶっているキャッチャーが誰なのかわからない。
誰に尋ねても首をかしげる。
そうしてレイはそれが父ではないのかということに気づく。
息子に野球選手になって欲しかった父
しかしレイはそれを拒否して家を出た。
やがて父が死に、葬式の時にようやく帰ってきた。
父に対する想いは、レイの中でずっとくすぶり続けていた。
それに対する「声」
そのキャッチャーに、「キャッチボールしませんか?」と切り出すレイ
父は、もちろん自分ができなかった野球選手として野球をする夢を叶え、息子に声をかけてもらえたことでようやく息子と向き合う決心をしたのかもしれない。
父とするキャッチボール
父とキャッチボールした思い出
このシーンが特に胸に突き刺さる。
この奇跡によって長年のわだかまりが解けたレイだったと物語は紡いでいるが、現実に同じように誰かを赦すことができたとき、このような奇跡に近い形で世界が変わるように思う。
物語は赦すまでの過程を描いているが、おそらく赦すための過程などなくてもいい。
それは「いま」できることだからだ。
この「過程」がエンドレスにあることが、多くの人が持つ「悩み」の根源かもしれない。
「声」はいつでもある。
「声」は声としてではなく、映像として現れることもある。
それと自分の「真の願い」に気づくこと。
自分の本心に向き合うことは、時にレイのように傍から見れば狂ったかのようであるかもしれない。
でも、
もしそれができれば、人生は劇的に変わるかもしれない。