ひとりぼっちの青春のレビュー・感想・評価
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「メリーゴーランドから降りるのよ」
制作された時代を鑑みるにこの作品もまたアメリカンニューシネマの潮流に列することができるだろう。というか実直すぎるくらいにニューシネマそのものだ。
際限なく何千時間も続いていく「マラソン」と、それに反して加熱の一途を辿るオーディエンスの歓声。
その空疎さは「マラソン」の会場だけに留まるものでは、単なるアレゴリーでは決してない。それは社会そのものなのだ。
終盤で「マラソン」を棄権し会場を後にしたグロリアが「メリーゴーランドを降りるのよ」と言ったとき、それは「マラソン」という限定的なゲームではなく、社会そのものからの離脱を意味した。意味せざるを得なかった。
彼女の「離脱」に手を貸したロバートは、警察に殺害の理由を問われてこう答える。
「廃馬は撃たれる」
いずれは私も。あなたも。
誰も彼もが。
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