劇場公開日 1996年5月25日

「時代に流されない、男の世界」ヒート A Lonely DINOSAURさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5時代に流されない、男の世界

2021年10月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

憧れますよね、信念を曲げない、曲げられないハードボイルドな男たち。
ジェンダーレスや多様性が声高に叫ばれるようになって、映画の描写も変わっていき、賞レース含めそういった時代の流れを汲んだ内容が透けて見えて何だか映画に集中出来なくなってるのが正直なところ。ボンド映画も「今じゃセクハラだ!女の敵だ!女ボンドでもいいだろ!」と言った意見も多く出て来ているようで、そりゃ確かに今考えたら有り得ないけど、何だかお門違いの批判のような。かつて楽しませてくれた名画たちが、今の時代の価値観で一転して「非人道的な悪しき作品」とされるのは一映画ファンとしては悲しいです。勿論、現実世界では差別とかはあってはならないコトなのは言うまでもないですが。
で、本作。どこまでも渋い漆黒のブラックコーヒーのような大人の味わい。厳しい世界に身を置き、そこから抜け出せない、抜け出す気もない狼たちの必然的な邂逅。そして切って落とされる戦いの火蓋。「女性が殆ど出てこない!」「男性優位だ!」という批判も今じゃ出て来そうですが、そんな見当違いな輩はパチーノに「黙って座ってろ!」と一喝されればいい。デニーロに胸2発、頭に1発熱い鉛をお見舞いされればいい。
長尺で各キャラクターのエピソードを描くのでもう少しタイトな作りにできたのではと思わなくもないですが、マイケルマンが描く男の世界に酔いしれました。不器用だけどこんなカッコイイ男になりたいと、シンプルに思いましたね。

A Lonely DINOSAUR