「逃げたくなる心情が伝わる」パリ、テキサス Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
逃げたくなる心情が伝わる
総合80点 ( ストーリー:75点|キャスト:85点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:75点 )
薄汚れた服で砂漠を歩く男は目が虚ろ。彼は最初は何1つ喋ることもなく、言葉を失ってまるで廃人のよう。何があったのか、弟が迎えに来てから少しずつ彼の背景が語られていくが、彼の閉ざされた過去に興味がわく。
そして家族との時間があった後にテキサスへ再び妻を息子と共に捜しに行く。父子は時間を取り戻したかのように喋り旅をする。
だがその後の孤独感・侘しさ・虚無感が漂う世界に突然すっぽりとはまり込む。あのときに何が起きたのか・どう思ったのか、言葉すら失い全てを捨てて歩き出した時の気持ちが理解出来る。この心の闇に覆われた彼はもうどうあっても引き止められないというのがわかる。
とにかく感情が伝わってくる映画だった。心が暗い闇に囚われ逃げ出せなくなるような主人公の気持ちが伝わった。『バッファロー'66』の雰囲気にも似た絶望感にも襲われる。そんな物語と演技と演出が良く出来ていた。
ただし一度は結婚していた相手の声と喋りを聞いて相手に気がつかれないという点は不自然だった。
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