「高IQと麻薬と」裸のランチ いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
高IQと麻薬と
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その両極端を科学方程式に紐解くと今作に繋がるという表現がぴったりな作劇であろう
頭脳と精神的深層は同一ではない 頭の悪い人=幼稚的発想 頭の善い人=高度な倫理観 人はそれを心に落とし込みがちであり、カタルシスを得易い 社会はそれで形成されたいと願うのだが、そうはいかないのが人間の本質のもう片方であり、だからこそドラマは絶えることない泉として滾々と湧き出るのである
そして今作ではそれを外的要因である"薬物"に拠ってデフォルメされた表現により、クローネンバーグらしさを爆発させた怪作である ただ、今回上映回での登壇ゲストであった菊池成孔氏によれば、まさに"インディ・ジョーンズ"そのもののコンセプトであり、豪奢な画作りは引けを取らないと感想を述べていて、確かに腑に落ちる見解である ストーリー自体は頭の中で繰広げられているモロッコの世界に、これまたアニマトロニクスで動く不気味な蟲や、トカゲの怪獣と、タイプライターとの融合、そしてクィアを性的快楽のみで落とし込んだ堕落感等、まるで太宰と谷崎に導かれるような世界観は、ビートニクと位置づけられたバロウズとの相関を妄想してしまうに相応しい作劇である
そして現在では村上龍の系譜だと感じるのは、私の浅はかさか・・・・ 2回も遊びで妻の頭を打ち抜く その蛮行は果して社会から抹殺するべき存在か?、それとも殆どが経験しない『ゴールドエクスペリエンス』なのか?
社会を脅かす"悪"は、それでも静かに蔓延している事実を我々に突きつけ魅了して止まない・・・
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