寝ずの番のレビュー・感想・評価
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出演陣がみんな芸達者…
落語一門のストーリーだけに、出演陣がみんな話し上手で、仕草、表情が素晴らしい。本物の噺家みたい。妻役木村佳乃も好演。寝ずの番をしながら、故人を偲ぶ、そこは故人も落語家、語るも落語家だけに粋で艶っぽくて、何よりも面白い。こんな風におくってもらえたなら幸せ、浮かばれるなと思う。今はこの様な文化風習はほとんど消えつつあるが、故人を偲ぶ機会、それがどんな話でさえ、良いことだなと思う。そそとそとは笑える。
終始猥談の艶笑喜劇
六代目笑福亭松鶴師匠がモデルの上方落語一門の通夜話を綴った終始猥談の艶笑喜劇。
破天荒な奇才中島らも原作だからハチャメチャ振りは察しがつこう。
日本映画の開祖マキノ監督を名乗った津川さんが監督、兄さんの長門さんが上方落語界の重鎮・笑満亭橋鶴を演じるほか実に豪華な出演陣はご両人の芸歴、人望の広さを伺わせます。
縄文土偶に女性器が彫られていたり、地方の祭りなどでも男根が祭られていたり五穀豊穣と子孫繁栄にかけてあっけらかんとした性の文化が日本人の根っこにあることは認めざるをえませんが、こうまで露骨に猥談や艶笑都都逸三昧を浴びせられるとは、圧倒されっぱなしでした。
女性陣には酷な映画かと思えば木村佳乃さんはじめノリノリでした。見栄とやせ我慢の江戸の庶民文化に比べ本音全開の上方衆のエネルギー感の凄いこと、お通夜の話なのに溢れる生命感はなんということでしょう。万人受けは無理でしょうが遊び人の親父や旦那衆にはバカ受けと思われます。
テレビではマネのできない映画らしい映画を撮る
映画「寝ずの番」(マキノ雅彦監督)から。
R15指定作品で期待させたが、久しぶりに声を出して笑った。
バラエティの漫才より、よっぽど質の高いお笑い喜劇だが、
俳優・津川雅彦さんの監督初作品らしく、大満足だった。
内容は、いつものように観てのお楽しみだけれど、
仲の良かった仲間が集まって、死んだ人の思い出を語るだけの
単純そうなストーリーの中に「艶」が感じられ
私は元気をもらい、帰宅後こうやってパソコンに向かっている。
今回の一言は、帰宅後、作品パンフレットで見つけた
マキノ雅彦監督の意気込み。
韓国を始めとした泣ける純愛映画より、私はこちらの方が好きだ。
お通夜に寝ないで線香(死体)の番をする「寝ずの番」は、
何よりも故人と共にした時間と、多くの思い出が必要である。
隣で観ていた身も知らずの人の大きな笑い声が、
とっても新鮮に聴こえる不思議な作品だった気がする。
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