「徹頭徹尾紙芝居」忍者武芸帳 因果さんの映画レビュー(感想・評価)
徹頭徹尾紙芝居
U-NEXTの作品解説には「前衛的」などと小気味のいい言葉が踊っているが、実のところただの紙芝居で、それ以上でもそれ以下でもない。原作の原画にセリフや効果音が当てられているだけ。学生運動最盛期においては白土三平やつげ義春をはじめとするガロ作品が左翼活動家たちのバイブルとして脚光を浴びており、それを映画という形でより広く公共化することにはそれなりに意味があったんだろうけど、それにしたってこれは酷い。始終ナレーションだらけだし、カットの速度が速すぎて何が起きているんだかよくわからない。一体何を考えてこんなものを世に出してしまったんだ大島渚よ。一応『大島渚の世界』という作家論で本作を参照してみたが、さすがの佐藤忠雄もこれに関しては擁護しきれていなかった。こんなものまで律儀に配給していたATGは偉いんだか偉くないんだかよくわからないが、本作は結果的にはそれなりのヒットをおさめたのだそう。時代の空気というやつだろうか…
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