忍者武芸帳

解説

白土三平原作の長編劇画を、大島渚監督が映画化した意欲作。俳優は一切出演せず、全編を白土三平の原画のみで構成、静止画像をモンタージュしナレーションを被せるという画期的な方法で描かれた実験的作品。父親を殺された結城重太郎の敵討ちと、忍者影丸の暗躍を描いた長編。影に生き影に死ぬ忍びの悲しさ。白土三平の反権力的なアンチヒーロー像に1970年代の学生運動、安保闘争がオーバーラップして見える、壮絶な反体制闘争時代劇画。

1967年製作/132分/日本

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映画レビュー

1.5徹頭徹尾紙芝居

2022年11月14日
iPhoneアプリから投稿

U-NEXTの作品解説には「前衛的」などと小気味のいい言葉が踊っているが、実のところただの紙芝居で、それ以上でもそれ以下でもない。原作の原画にセリフや効果音が当てられているだけ。学生運動最盛期においては白土三平やつげ義春をはじめとするガロ作品が左翼活動家たちのバイブルとして脚光を浴びており、それを映画という形でより広く公共化することにはそれなりに意味があったんだろうけど、それにしたってこれは酷い。始終ナレーションだらけだし、カットの速度が速すぎて何が起きているんだかよくわからない。一体何を考えてこんなものを世に出してしまったんだ大島渚よ。一応『大島渚の世界』という作家論で本作を参照してみたが、さすがの佐藤忠雄もこれに関しては擁護しきれていなかった。こんなものまで律儀に配給していたATGは偉いんだか偉くないんだかよくわからないが、本作は結果的にはそれなりのヒットをおさめたのだそう。時代の空気というやつだろうか…

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因果

3.0画期的な作品

2021年3月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 原画をそのまま撮影して役者がアフレコを行うという斬新な実験的映画。物語はかなり壮大な流れにあるし、織田信長などの実在の人物も絡ませてかなり面白いことは確か。坂上主膳とその妹・螢火は重太郎から逃れ、やがて自分そっくりな明智光秀に出会い、彼の影武者となるといった展開。

 主人公は重太郎なんだろうけど、影丸を中心とした影一族の話も面白い。影のヒーローなんだけど、全国各地の農民一揆を指導し、人々が平等に幸せを得るまで戦い続けるというテーマも大島らしさの現れだろうか。

 原作も知らない(とは言っても、原画そのままだから同じものか?)けど、農民一揆のくだりや重太郎の数奇な運命もドラマチック。しかし、影丸に感情移入しようにも、不死身の割には実は4人いたことによって集中できないし、最後に坂上=明智を倒したのも一族の鬼吉の方だったからなぁ。

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kossy
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