何がジェーンに起ったか?のレビュー・感想・評価
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怖い女の怖い話に見えた
・幼少期に売れっ子のアイドルみたいな売れ方をするも成人してからは女優としては花開かず、大成した姉逆恨みから姉を殺そうと車で引いて下半身不随にして、その後、二人で生活している状態がまず怖かった。それも、姉が車いすなのに二階にいさせてるのも。
・妹が冒頭から何やら性格が悪そうで、ラストまで狂った状態に見えたので、終始、やべー女がやべーままっていう印象が残った。他のレビューを観ていたら、ラストで自責から解放されての状態というのを読んで、あぁそういう事か、と思った。個人的には感情の乱高下が凄いのでそう見えなかった。姉も自分が起こした事故から変わってしまったといっていたけど、元々だったんじゃないのかなという印象がどうも強い。
・妹の方が老けてるのと、過去の栄光にすがりまくってるのが怖かった。昔は良かったのにという感じが切ないし、寂しいし怖い。抱いた希望も、過去への回帰っていう絶望しか想像できない。
・サスペンスの演出がすごくて、妹に見つかったらヤバイ!っていう不安感が終始つづいてドキドキした。
・地味に、この頃からウォーターサーバーってあったんだと思った
・エドウィンがジェーンの何に急に?家に行って会いたくなるほど惹かれたのかが不思議だった。嫌悪感が凄そうだったので。
・エドウィンの息子に優しい高齢の母親との二人暮らしの何か希望のない暮らしがリアルで怖かった。
・ラストの海岸で姉が妹をひき殺そうとしていたという告白で、深い酩酊はしたことあるけど記憶がすけかわるほどの酩酊をしたことがないせいか少しピンと来なかった。もしも、記憶がなくなるほどのことがあって、お前がやったんだと言われたら、そうなのか…となるのかもしれないけれど…。で、妹が字幕でお互いに無意味に憎みあっていたというようなセリフがあった。憎んでいたのは妹だけじゃないのかと思ったけど、車で引こうとしていたのだから、そうか、と後から腑に落ちた。
【”血縁ある姉妹故の怨嗟の果てに起こった悲劇。”名子役だった妹が成長して姉に演者として追い越される中、芽生えた狂気をベティ・デイビスが物凄い演技で魅せる作品。今作は哀しきヒューマンドラマでもある。】
■名子役として人気を博した妹・ジェーン(ベティ・デイビス)と、彼女と入れ替わるように実力派女優として評価された姉・ブランチ(ジョーン・クロフォード)。
だが、ブランチが【車の事故】で下半身不随となって以来、姉妹は大邸宅で孤独に暮らしていた。
そんななか、酒に溺れたジェーンは異常な行動を繰り返すようになっていく。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・噂には聞いてはいたが、今作は、物凄く恐ろしいホラー映画でありながら、哀し過ぎるヒューマンドラマである。
それを支えているのは、姉ブランチを演じたジョーン・クロフォードの熱演と、徐々に狂って行く妹・ジェーンを演じたベティ・デイビスの怪演である事は間違いない。
ジェーンが子役時代の栄光を具象化した、ベイビー・ジェーンの人形を自室に大切に椅子に座らせているショットが何度も映し出されるシーン。
・狂気に駆られたジェーンが【車の事故】により下半身不随になった姉ブランチを邸宅の二階に閉じこめ、供する食事のシーン。
ー 物凄く怖い。一度目は鳥の死骸が乗せられた皿、二度目は美味しそうな肉料理、三度目はジェーンが”家に鼠が多いのよ。”と言って供した皿の上に乗っていたモノ・・。-
・ジェーンがブランチの声色を使って酒屋から酒を取り寄せるシーンや、ジェーンの主治医をだますシーンも怖いが、白すぎるメイクをしたベティ・デイビスの狂気の演技が炸裂している。
・メイドのエルヴァイラが、ジェーンの狂気性に気付くも・・。
ー 絶望的な気持ちになる。-
■ジェーンが狂気の中、演技界に復帰すべく太ったピアノ奏者を金もないのに雇うシーンが、観ていて哀しい。
<ラストも、強烈である。ジェーンが囚われていて虫の息の姉ブランチを連れて海に行くシーン。燦燦と降り注ぐ陽光の中、ブランチが事故の真相をジェーンに告げる姿。
だが、狂気に取り込まれたジェーンはその言葉を聞いても、ブランチに怒りをぶつける訳でもなく、我儘だった子役時代にアイスクリームを父にねだったように、【姉と自分の為に】海岸の売店で童心に戻ったかのようにアイスクリームを買うのである。
重ねて書くが、今作は恐ろしきサイコホラーでありながら、哀し過ぎるヒューマンドラマなのである。>
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自宅にて何度目かの鑑賞。半世紀以上前の全篇モノクロ作品。初鑑賞時が失念する程昔だったので、記憶違いも含め新発見等も多く、一旦、観始めるとグイグイ惹き込まれてしまう魅力があり、新鮮に観れた。カメラワークや演出に無理が無く、シンプルな構成で、二人の女性の愛憎が際立ち、非常に内容が判り易い。大まかな構成や展開等で楳図かずお原作の『おろち('08)』が似ている事に今回気付いた。細かな綻びや破綻も見られるが、それらを差し引いても紛う事無き超常的なモノに頼らない心理スリラーの秀作である事に変わりはない。75/100点。
・金髪とブルネットの姉妹、姉妹と母の違いはあれど肉親による相克、葛藤、共鳴と確執、それぞれの人生に与えた影響等、描かれ方は違えどそのモチーフ、テーマに伝説のストリッパー“ジプシー・ローズ・リー”を描いたミュージカル『ジプシー('62)』に似たものを感じた。
・本作の肝となるアイテム“ベビー・ジェーン”人形──序盤、タイトルコール~スタッフクレジットの際、壊れたこの人形が写されるが、これが事故の真相を物語ってる様に思えた。姉の“ブランチ・ハドソン”は身体を、妹の“ジェーン・ハドソン”は心を事故によって壊してしまった。
・終盤、浜辺のラジオから流れる臨時ニュース音声で、目撃者の証言として'40年か'41年型の黒い車を特別捜査班は追い掛けていると報道されるが、実際には'48年型のリンカーンコンチネンタルコンバーチブルが使われている。
・V.ブオノの“エドウィン・フラッグ”とその母“デリラ・フラッグ”役M.ベネットの掛け合いは、コメディリリーフとして華を添え、作品に深みを持たせている。物語は1917年、1935年及び1962年と三つの時代を跨ぐが、瀕死の肉親を残し、聴き付けた野次馬と云う聴衆の白い眼が見守る中、往年の黄金期を夢想し、踊り続けるラストカットは憐憫に満ち、強烈な印象を残し後を引く。
・何よりも本作の成功は“(ベビー)ジェーン・ハドソン”のB.デイヴィスの正に怪演と呼ぶに相応しい演技に由る処が大きいだろう。彼女は自ら醜悪なメイクを施し、喜々として狂ったヒール役を演じた。当初、カラーで撮影されていた本作を、より哀しく印象的に美しくなると全篇モノクロ撮影に変更させたと彼女は自著"This 'N That('87)"で告白した。亦、彼女の友人で『エアポート('75)』や『レイズ・ザ・タイタニック('80)』等で知られるプロデューサーW.フライと共にH.ファレルが書いた本作の同名原作を買取り、A.ヒッチコックに演出させようとしたが、生憎『サイコ('60)』がヒットし、次作『鳥('63)』の準備に掛かっていた為、多忙を理由に辞退された。
・隣家に住む“リザ・ベイツ”を演じたのは、B.デイヴィスの三番目の夫W.G.シェリー('45~'50年婚姻)との実娘(本作では"B.D.メリル"とクレジットされている)B.メリルである。
・キャリアにおいて本作以降、復活した“ジェーン・ハドソン”のB.デイヴィスとは対照的に、本作以降低迷期に入ってしまったのが、“ブランチ・ハドソン”役のJ.クロフォードである。本作の共演をきっかけに二人は公私に亙り仲違いし、いがみ合ってしまったのはエピソードに事欠かない程有名であり、その様をS.コンサイディンがノンフィクション"Bette and Joan: The Divine Feud('89)"として纏め、上梓した。亦、'17年にはB.デイヴィスをS.サランドンが、J.クロフォードをJ.ラングが演じ『フュード/確執 ベティvsジョーン('17・全八回)』としてTVドラマ化された。
・仲が悪かった有名なエピソードの一つして撮影時、未亡人('59年にA.スティールと死別)になっていたとは云え、ペプシコ社の会長夫人だったJ.クロフォードに対し、B.デイヴィスはセットにコカ・コーラの自動販売機を設置させたと云うのが挙げられる。
・酒屋に電話で、B.デイヴィスの“ジェーン・ハドソン”が声真似をし、註文を執りつけるシーンでは、どうしても巧く出来ず、“ブランチ・ハドソン”のJ.クロフォード自身が吹替えを行っている。
・劇中、往年の出演作としてTVに映されるのは、B.デイヴィスが『落下傘 "Parachute Jumper"('33)』、『Ex-Lady('33)』であり、J.クロフォードの場合は『蛍の光 "Sadie McKee"('34)』である。
・“ブランチ・ハドソン”のJ.クロフォードは『ビッグ・アイズ('14)』として映画化もされたM.キーンによる絵画"Sad Eyes"シリーズの蒐集家であり、A.リー演じる“ベイツ夫人”宅内では壁の"The Stray"を始め、幾つかのコレクションが見られる。
・“ジェーン・ハドソン”役は、I.バーグマン、R.ヘイワース、S.ヘイワード、K.ヘプバーン、J.ジョーンズ、J.ロジャースが、“ブランチ・ハドソン”役にはM.ディートリヒ、T.バンクヘッド、C.コルベール、O.デ・ハヴィランドが、“エドウィン・フラッグ”役にはP.ローフォードが予定されていた。
・“ハドソン”姉妹宅の外観は、ロサンゼルス市内のハンコックパークに在り、『オズの魔法使('39)』製作時に“ドロシー”役のJ.ガーランドが住んでいた家のすぐ隣であると云う。亦、ラストシーンは『キッスで殺せ!('55)』でも使われたマリブの浜辺である。
・主な撮影は約一箇月で終了したと伝えられている。低予算が大ヒットに化ける走りの一作であり、本作の場合、約75万ドルと云われる製作費を僅か11日間で回収し、公開一年後には約900万ドルの興行成績を記録した──これは現在の貨幣価値で、約7,250万ドルを優に超える額だと換算されている。
・米国の著名な評論家でプロデューサーのR.イーバートが選んだ"Great Movies"に入っており、同じく評論家でプロデューサーのS.シュナイダーの「死ぬ迄に観た方が良い1001本 "1001 Movies You Must See Before You Die"」にも選出されている。更に「映画芸術の遺産を保護し前進させること」を目的とした団体“AFI(American Film Institute)”が'98年に発表したアメリカン・ムービー・トップ100にもランクインしている。
・鑑賞日:2018年11月23日(金・勤労感謝の日)
鬼気迫る迫真の演技とサスペンスが秀逸!
レンタルDVDで鑑賞。
ジェーン役のベティ・デイビスの迫真の演技に引き込まれました。
マジで怖い…。厚化粧の白塗りだからもっと怖い!
車椅子の姉をいたぶる様、そして過去の栄光にすがるイタい姿…どれもが絶品。“鬼気迫る”とはこのことを言うんだなと思いました。
やがて、彼女の“狂気”は取り返しの付かない事態に発展していき…。ハラハラ・ドキドキ、手に汗握るサスペンスが秀逸でした。
ラストで明かされる30年目の真実に驚愕。
何と虚しいことか…!
スクリーンから噴き出す憎悪と狂気
すごかった。
とにかくすごかった。
観ていて具合が悪くなるくらい、あまりの怪奇にげっそり疲れました(>人<)。
ストレス度で言えば個人鑑賞史上最高かも知れない…。
“1917”→”1935”→“Yesterday”と来るから、後で回収されるのかと思ったけど、現在って意味なんですね。
サイコサスペンスとして観ると、矛盾が多くてひたすらイライラします(>_<)。
残念な点
◯心底助かりたいのなら、体力がある内に窓から隣人に向かって叫べば良いだけのこと。
手紙を紙飛行機にでもすればもっと飛ぶ。
Edwinが初めて来た時に声をかけたら良かった。
◯外出時間が短過ぎる。
◯小柄なJaneが、女性とはいえ体格の良い死体を1人で易々と運ぶことは非常に困難なはず。
しかし!
これは美しかった姉妹達の憎悪劇として観るべきなんだと思いました。
自分の高評価を得るために、更なる高揚感と優越感を味わうために、互いに依存していた姉妹です。
ちなみにEdwinとママの関係も共依存っぽい。
*姉Blancheの心情*
1917年
6才の妹だけがステージで注目を浴びる。
パパは妹ばかり可愛がってズルい。
しかし妹が稼ぎ頭だから今は我慢。
ママは優しくしてあげなさいとか言うけど、いつか妹を追い抜いて大女優になって見返してやる!
1935年
ここ数年は女優として成功してるわ。
妹は演技が下手で、私のコネが無ければ役を得られない。才能のない哀れな妹。
そんな呑んだくれでダメな妹を面倒みてあげる私、なんて良い人なのかしら!業界でも人格者として評価されてるぅ♪
…だけど、これだけ仕事を回してあげているのに、妹はなぜ大勢の前で私にあんなに恥をかかせるの?!(激怒)。
現在
こうなったのも自業自得。
社会的地位も信用も完全に失った妹は一生、可哀想な私の面倒をみるハメに。
過去の栄光に浸って昔の歌をまた歌ってる…、パパの歌なんか、あぁ聴きたくない!罪悪感を忘れさせないためにも、呼び鈴沢山鳴らしてやる。(歌や過去の話題が聞こえると必ず鳴らす。)
ますます酒の量が増えてマジで狂ってきたし、ホント醜女だわ。昔の面影は消えて、私より遥かに落ちぶれたわね。
お手伝いさんは妹が大嫌い。でも私の味方♪
悲劇の大女優として、名作と共に私の名声は永遠に不滅☆テレビで特集されてる!(≧∀≦)
代表作すらない妹はあからさまに嫉妬していて良い気味だわ。
でも、妹を施設に入れるのは…どうなんだろう。誰も私を責めないだろうけど、そこまでして良いのだろうか…。
(そして体力の続く限り、もう無意識に?悲劇のヒロインを演じ続け、妹は暴走、手遅れに。)
こう考えると…
ワガママ幼女のような老女Jane、スポットライトを浴びてチヤホヤされていれば満足なんだから、とても単純です。行動も思考も短絡的。
妹を自分の怪我と共に引きずり落としたお姉ちゃん、聖女の仮面を被った腹黒い女かも。スターの妹を見てきたからこそ、自分も努力を重ねて成功することができたのでしょうけどね。
姉の心理はかなり推測なので(^_^;)、もう少し姉の描写に時間を割いても良かったのかも知れません。字幕の訳は中途半端で、台詞では、もっと直接的に姉が動機と意図的犯行を告白しています。
本作の目玉であるJaneの狂気に満ちた歌と踊りが、ホラーを超えてブラックコメディ。現代目線では、70年くらい前の栄光に浸る、精神年齢6歳の老女です。高齢女性の扱いならお手の物といった感じのEdwinの、呆れた視線もすごく上手い。
あまりの迫力に、ストリートパフォーマンスかサーカスなら、怖いもの見たさで観客を案外呼び込めるのではと思いました。
ちなみに、隣人のリビングにある絵画も結構不気味。
現実に憎み合った女優達の共演(競演?狂演?)だからこそ生まれた作品ですね!!
もう歳だから、と引っ込み過ぎるのも、
その歳で、と批判し過ぎるのも嫌なんですが、
流石に数十年の変化は大きい。
年相応、分相応をわきまえないと…♪(^^)。
ぎゃー
もし、あの時事故さえなければ。
もし、あの時お酒を飲んでいなければ。
「今の私では、ないはずだ。」
例え、お酒を飲んでいなくても、事故がなくても、彼女達姉妹の運命は幼き時に決まっていました。
彼女達の背負った哀しき運命は、美しく生まれたことであり、両親がそれを利用したことにあります。
彼女達が嫉妬や怒りに支配されたことも、両親から受け継いだ「美」=「金」であるという絶対的な価値観があったからでしょう。
楳図かずお先生の作風に似てるなあと思ったら、この作品が好きみたいですね。
幽霊やお化けよりも怖いものは、人間の持つ「心」です。その「心」が、見た目を作りだします。
ラストで真相を知ったジェーンに、怒りの表情はありません。優しい顔で、アイスクリームを手に踊ります。
彼女の罪悪感こそが、化物の様な表情を作りだしていたのです。
ただし、人は必ず老いるものであり、時間を取り戻すことは決してできません。残念ながら、それが宿命なのです。
狂ったおばさん怖い
ジェーンの狂いっぷりがあまりに怖すぎるし、車で出かけて帰ってくるのが早すぎる。幼少で人生のピークを迎えてしまうことの辛さが尋常じゃなかった。ジェーンは子供のころから性格が悪すぎて、その後もまったく成長できなかった。芦田愛菜ちゃんは大丈夫だろうか。
ビーチで警官や野次馬に囲まれ、注目を浴びることで嬉しくなってつい踊り出してしまうところが悲しかった。現実と向き合えない事の恐ろしさ。
それにしてもとんでもない傑作だった。
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