「本物のダーク・サスペンスだ。」何がジェーンに起ったか? 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)
本物のダーク・サスペンスだ。
模型だろうが動物の死骸などグロい描写があり、今では珍しくないが、高潔さが重んじられた公開当時は、よほど衝撃的だったろう。英国では当初、X指定を受けている。
主演の2人は人気が下降気味で、本作が復活作となった。また、実際に確執があり、撮影中も嫌がらせしあって、互いにケガや腰を痛めている。そんな中でも、主演の2人の強烈な熱演が、本作の価値を大いに高めている。
高ぶる狂気を熱演したベティ・デイヴィスと、受け手を巧みに演じたジョーン・クロフォードの、鬼気迫るプロ根性が凄い。グロテスクな描写を交え、血も凍るような形で、根深い嫉妬を描き切った、サイコ・スリラーの傑作だ。
全編を通じたおどろおどろしい雰囲気も良いし、憎悪、復讐、殺人、そして因果応報という、ヒッチコック風のスリラーとメロドラマ風の生々しさが融合した、本物のダーク・サスペンスだといえる。
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