「ジム・ジャームッシュのオフビートに酔いしれる」ナイト・オン・ザ・プラネット ゆきさんの映画レビュー(感想・評価)
ジム・ジャームッシュのオフビートに酔いしれる
1週間限定上映にて鑑賞。
本作も様々な媒体で鑑賞しているが、やはり劇場で観るとひと味違いますね!
私が好きな監督作品、89年
「ミステリートレイン」
こちらもメンフィスのホテルでの3組の一夜を描いた3話のオムニバス。
まだ駆け出しの永瀬さん、少女時代の工藤夕貴さんのツーショットは今見てもカッコいい!
絵になるヴィジュアルが記憶に残る。
そしてジョー・ストラマーも出ている驚き!
ジム・ジャームッシュにしか作り出せないこの空気感が好きだ。
それから2年後の91年、本作が公開された。
こちらもロス、NY、パリ、ローマ、ヘルシンキを舞台に、タクシードライバーと乗客のやりとりを描いたオムニバス。
オープニングに流れる「Back In The
Good Old World」が流れると、
うお♡はじまった♡って嬉しくなってワクワクする。
パーカッションとあのしゃがれ声!
トム、サイコ〜!
地球儀くるくる〜からのズーム。映し出されたのはロス。
第一章が始まる。
若い女性ドライバー、コーキー
(ウィノナ・ライダー)
と、映画の出演者を探しているヴィクトリア
(ジーナ・ローランズ)が乗客。
ヴィクトリアから、一見魅力的なお誘いを受けるコーキーだが、自分には夢があると、それを断り信念を貫く生き方がカッコいい。
そしてそれを尊重したヴィクトリアもいいのよね。
自分の身の丈に合った生き方。。
考えさせられます。
若き日のウィノナ・ライダーのふてぶてしくも初々しい演技が新鮮にうつる。
それにしても魅力的だ。
そしてそれを受けるジーナの完璧さよ!
粋な2人の掛け合いが見所。1番華のある章ですね♪
二章はNY。
寒い街角でやっと拾ったタクシー。
帰宅したい黒人男性ヨーヨーと、東ドイツからやって来たばかりのドライバーの物語。
運転も下手で道も分からないドライバーに代わり、客であるヨーヨーが自ら運転してブルックリンへ迎う。
ドライバーは元サーカスのピエロで名前は
「ヘルムート」だという。
「ヘルメットみたいだ」と爆笑するヨーヨーに「ヨーヨーという名前も同じだ」とヘルムートも笑う。
2人の会話が絶妙に面白くほっこり。
温かい気持ちになる。
途中、夜の街にいたヨーヨーの義妹を発見。無理矢理同乗させるもケンカになって、放送禁止用語連発。
騒がしいのだが、いつしかバカ話しになっていくノリがいい。
「お金は必要だけど重要じゃない」
ゔ、、言ってみたい。
アーミン・ミューラー=スタールの老犬の様な困り顔がチャーミングで大好き!
三章はパリ。
コートジボワール移民の黒人ドライバーと、乗車しているのは黒人VIPの2人。
同じ黒人からバカにされ、強引に下車させてしまうドライバー。
次に乗せたのは盲目の女性。
元々の性格がそうなのか?ハンデが故に武装しているのか?
強気だし、ちょっと態度がデカいからビックリする。
しかし、彼女の、あらゆる事を全身で感じる。人の肌の色なんて気にしない。という台詞にはドキッとする。
目が不自由なのをハンデと思った私。
しかし彼女は私なんかより感覚も聴覚も優れている。彼女は自分に自信がある。
私の無意識の差別心を恥じた。
そしてドライバーも、黒人VIP客にされた事と同じ事を、彼女にもしていたという皮肉。
オチはブラックユーモアが効いている。深い!
「お前は盲目なのか!!」
この章は何といってもベアトリス・ダルでしょう!
「ベティ・ブルー」。。トラウマです。
四章はローマ。
ドライバーのジーノ
(ロベルト・ベニーニ)はとにかくおしゃべり!
こんなタクシーには乗りたくない
NO1!!のかわいそうな乗客は神父らしき男性。
ジーノは自らの独特過ぎる懺悔を一方的に話しまくる!「困る」神父。
具合が悪くなった神父にお構いなしで最終的には。。
ローマ編だけ毛色が違うので何度観ても戸惑ってしまうが、、
懺悔の内容のバカバカしさとロベルト・ベニーニのマシンガントークにはちょっとだけ笑う。素ですか?の演技力w
最終章はヘルシンキ。
ドライバー「ミカ」と3人組の酔っ払いが乗客。
ずっと寝ている「アキ」の不幸話しで盛り上がる2人。
それを聞いていたミカは「それが不幸か?」と自らの不幸を語り出す。
それまですぐ揉めていた2人もミカの話しに涙し、「君は良い人だ」と言って下車する。
しばらくしてミカに起こされたアキも下車。
「生きるのはきびしいよ」
雪が残る道端に座り込むアキに「おはよう」と男が声をかける。
夜は明けていた。。
ヘルシンキで朝を迎えるってのもいいんです!
「ミカ」「アキ」という名前も、ジャームッシュの愛あるイジリでしょう♪
「明けない夜はない」
人間が愛おしく思える。
笑うというよりニヤけてしまう。
この空気感が最高に好きなのです。
ジム・ジャームッシュのオフビートに酔いしれる!
深夜に観たい映画です。好き♡
ちなみに、
私がこれまで見たタクシードライバーで1番危なくイカれた奴は
レッチリ「By The Way」のMVの
デイブ・シェリダン!!最高ですw
あと本作鑑賞後には「ちょっと思い出しただけ」を、いつもちょっと思い出します(^。^)
ゆきさん、『PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』にコメントいただき、ありがとうございます。ゆきさんの鑑賞されている映画とレビュー内容に共感し、フォローさせていただきました。直近で『ナイト・オン・ザ・プラネット』をご鑑賞されていて且つレビューもされている方がいらっしゃることに感銘を受けました。私も第一章が最もお気に入りです。宮崎では若い方も複数名鑑賞していて、ちょっぴりうれしくなりました。
今晩は。
今作、映画館で上映しているんですか?(と思って調べたら、家から15分の映画館で上映していた!!しかも今日まで。社会人には無理な時間帯で(涙))
今作は、当時付き合っていた彼女と観に行ったんですね。(今は奥さん。)凄く好きな内容だったのでパンフも買って、今でも宝物です。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズの「By The Way」はカラオケの私の必殺持ち歌であります。(アンソニーが途中に入れるカッティングパートが難しいですが、軽くクリアすると、凄く盛り上がる。)
ジム・ジャームッシュ作品は学生時代に友人宅で観た「ストレンジャー・パラダイス」以降全て観ていますが、今作はもう一度劇場で観たかったなあ。では。