「ロシアン・ルーレット」ディア・ハンター Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
ロシアン・ルーレット
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総合85点 ( ストーリー:75点|キャスト:90点|演出:85点|ビジュアル:75点|音楽:85点 )
マイケル・チミノ監督の人を強く儚く描いた演出と、クリストファー・ウォーケンの美貌と作品中の狂気がかった変貌ぶりの強い印象により、個人的にこの2人の存在を意識した最初の作品。また映画の持つ人の心に訴える深みを感じ、私を映画好きにした作品の1つでもある。
ソ連系移民がベトナム戦争に参加して、戦争の犠牲となって狂気にとりつかれ人生を狂わせていく。わずかな間に大きな経験をしたマイケルが、故郷の山中で鹿を追いながらもその雄雄しさに思わず射撃をせずに逃がしてやる。その対比が哀しくも美しい。
そして最後にニックのために集まるみんなの心に残る寂寥感が余韻を残して締めくくられる。傷つき家族を亡くし、ほんの短い間に何もかも大きく変わってしまった。それ以前の大きな衝撃的な出来事との対比もあって、その寂しさがしんみりと伝わってきた結末に浸る。寂しく美しく奏でられるギターの名曲ガバティナがまた雰囲気にとてもよく合っている。
北ベトナム軍がロシアン・ルーレットをやったのかというのは作品の良さとは別問題で、本当は恐らくやってはいない。だがそれはここでは映画としての脚色として重要な役割を演じる。ニックが一体ベトナムで何をやっていてどうして長い間生き残れたのか、よくわからないし物語としては不満はある。でも心情を静かに揺さぶるいい作品だった。
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